追加給付いつ届く…対象者への支払わずか2割 コロナも影響

2020年9月1日 06時00分

◆厚労省の統計不正で発生した過小支給

 2018年末に発覚した厚生労働省の「毎月勤労統計」の不正調査により雇用保険などに過少支給が発生した問題で、札幌市の70代男性から「追加給付の対象になったが、振り込みの手続きが遅すぎる」という疑問が寄せられた。男性は今年7月に追加給付が振り込まれるまで8カ月を要したという。厚労省に取材すると、雇用保険の追加給付対象者延べ約1860万人のうち、支払い済みは約2割にとどまり、事務手続きが長期化。追加給付を終えるめども立っていないという。(北海道新聞)

厚生労働省が送付した追加給付に関する通知

◆厚労省「混雑しており申し訳ない」

 男性によると、厚労省から雇用保険の追加給付の通知が男性宅に届いたのは19年11月末。すぐに本人確認の回答票を返送。何カ月がたっても振り込まれず、男性は何度も厚労省に問い合わせたが「大変混雑しており申し訳ないです」と答えるだけだった。7月下旬に追加給付が振り込まれた。男性は「ほかにも同じような人がいるのではないか」と訴える。
 厚労省は、毎月勤労統計の不正が18年12月に発覚して以降、雇用保険の追加給付対象者への通知を発送。引っ越しなどによる返送が相次ぎ、住所の特定が難航していたという。
 さらに新型コロナウイルスの影響も受けた。追加給付の事務作業は、全国のハローワークで行っているが、感染予防のために職員の出勤を抑制していた時期があり、厚労省の担当者は「追加給付の遅れにつながった」と説明する。

◆支給まで半年以上の例も

 支払いを終えた人数は6月末までに全体の約2割の延べ約394万人で、支払額は約63億円。1人当たりは約1600円。管轄する人口の多いハローワークに業務量が集中する傾向にあり、投稿を寄せた男性のように支給まで半年以上かかるケースもある。
 毎月勤労統計の不正に伴い、雇用保険のほか、労災保険や船員保険でも過少支給が発生した。追加給付対象者は両保険合わせて延べ約73万人。このうち支払い済みは約20万人という。これまでの支給額は約177億円で1人当たり約8万6500円。
 国の統計で不正が行われると、影響を受ける人数も、事後の対応にかかる時間も膨大になることが改めて浮き彫りになっている。厚労省は「すでに亡くなった対象者もおり、給付を終えるのにさらに時間がかかる。重ねておわび申し上げる」としている。また追加給付をかたり、金融機関の暗証番号や手数料を要求する手口の詐欺の発生を懸念し「厚労省などが暗証番号を聞いたり、手数料を求めることはない」と注意を呼びかけている。

 毎月勤労統計不正 賃金や労働時間などの変動を調べる厚生労働省の毎月勤労統計でルールに反する手法が取られていた問題。本来従業員500人以上の事業所は全て調査する必要があるのに、2004年以降、東京都分を3分の1程度抽出する不正調査を無断で行った。この不正により統計上の賃金が低く出たため、統計を基に算定する雇用保険などで給付額が低く計算されていた。

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