党員の意思くみ取らず…自民党総裁選、党員投票見送りに最後まで異論

2020年9月2日 05時55分
 自民党は1日の総務会で、安倍晋三首相(党総裁)の後任を決める総裁選について、党員・党友による投票を省略し、国会議員と各都道府県連の代表者の投票だけで選出することを決めた。党員投票の実施を求めた中堅・若手議員や地方組織の要望を押し切った。108万人(昨年末時点)の党員の意思を正確にくみ取らない形で、事実上の次の首相を決めることになった。
 自民党則は総裁が任期中に欠けた場合で「特に緊急を要するとき」に限り、党員投票を行わないことを認めている。国会議員票と党員票を同数とする正規の総裁選に比べ、国会議員票の比重が大きくなり、派閥の「数の論理」に結果が影響されやすくなる。
 党員投票を省く党執行部の意向に中堅・若手議員らが反発。党員投票の実施を求める国会議員約150人分の署名を執行部に提出した。三重、滋賀両県連や名古屋市議団など地方からも同様の要望が相次いだ。
 総務会では、二階俊博幹事長が「1日も早く総裁の負担軽減を図ることが重要だ」と強調。執行部側は、通常の総裁選の実施には2カ月間かかると説明した。
 これに対し、党員投票を求める意見が続出。小泉進次郎環境相もオブザーバーとして参加して「(正規の)総裁選で政治の空白が生まれるというが、政府の組織はしっかりと回っている」と方針の見直しを訴えたものの、執行部案は全会一致で可決された。小林史明青年局長は「全国の党員らの声を反映できず本当に悔しい」と記者団に語った。
 執行部は速やかに後任を選ぶ理由として、首相が健康問題で退陣することを挙げたが、首相は先月28日の記者会見で「次の総裁が決まるまで体調は基本的に絶対大丈夫」と述べている。鈴木俊一総務会長は、首相の発言と今回の決定の整合性を問われ、「矛盾はない。首相は病気が再発した状況で、2カ月は長い」と反論した。(井上峻輔、市川千晴)

◆岸田、石破氏が出馬表明

 自民党の岸田文雄政調会長(63)と石破茂元幹事長(63)は1日、東京都内でそれぞれ記者会見し、安倍晋三首相(党総裁)の退陣に伴う党総裁選への立候補を正式に表明した。菅義偉官房長官(71)も2日に立候補を表明する見通しで、三つどもえの争いの構図が固まった。
 岸田氏は「分断から協調へ」というキーワードを掲げた。森友・加計学園問題などに伴う政治不信の高まりを踏まえ「政治の信頼を大事にし、国民の協力を引き出せるリーダー」を目指すと強調。安倍政権の政策については、積極的な財政出動や日銀の大規模金融緩和による「アベノミクス」を引き継ぐと説明した。
 一方、首相が前向きな敵基地攻撃能力の保有に関して「専守防衛、平和憲法との関係で現実的な対応ができるか」と慎重な姿勢を示した。新型コロナ対策ではPCR検査態勢の拡充を訴え、経済活動との両立を最優先課題とした。
 石破氏は、国論が二分する政策を推進した首相の政治手法を念頭に「国民の納得と共感が得られる自民党でありたい」と訴えた。アベノミクスについては「国民や中小企業は豊かになったのか」と疑問視した。
 その上で、地域分散型の経済への転換を主張。消費税に関しては、低所得者ほど負担感が重くなる「逆進性」が課題だと指摘し、減税の可能性も含めて「役割を検証する」と述べた。
 総裁選を巡っては、出馬に意欲を示していた河野太郎防衛相(57)と野田聖子元総務相(59)が1日、ともに立候補を見送る考えを示した。(山口哲人、川田篤志)

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