退職強要14回、基本給半額、仕事外し…医療機器メーカー社員女性がパワハラで会社を提訴

2020年9月2日 05時55分
長年のパワーハラスメントを訴えるメドエルジャパンの女性社員(右)=1日、東京都内で

長年のパワーハラスメントを訴えるメドエルジャパンの女性社員(右)=1日、東京都内で

  • 長年のパワーハラスメントを訴えるメドエルジャパンの女性社員(右)=1日、東京都内で
 聴覚障害者用の人工内耳などの販売を手掛けるメドエルジャパン(東京都千代田区)の女性社員(55)が1日会見し、14回に上る退職強要や基本給減額があったほか、仕事を与えられないといったパワーハラスメントが長年続いていると訴えた。女性は同日、損害賠償など881万円を同社に求めて東京地裁に提訴した。
 女性は2010年12月に同社にマーケティング担当として入社。しかし、12年から2年間、当時の社長らから「著しく自己中心的」「他の人の人生が狂うぐらいのことをしている」などと14回にわたり退職を迫られた。
 一時、清掃担当者に降格され、会社貸与の携帯電話も取り上げられた。13年3月から1年間は基本給を半額に減らされ、その後、差額は戻された。15年以降は顧客ら社外との接触を禁止され、与えられる仕事はなく、社内会議への出席も認められていない。
 女性は「私と口をきくと処分の対象になると聞いた。製品を使った人の喜ぶ声が忘れられない。仕事がしたい」と声を震わせた。同社にはパワハラ相談窓口があるが、女性によると「相談にのってもらえなかった」という。
 メドエルジャパンは弁護士を通じ「書面も届いていないので、情報の確認を進める。現時点ではコメントできない」と話した。 (山田晃史)

◆大企業に防止措置義務化でも実効性課題…罰則規定なく

 パワハラの相談は増加傾向が続いている。厚生労働省の各都道府県労働局などへの相談のうち「いじめ・嫌がらせ」は2019年度に8万7570件で8年連続で最多を記録。政府は6月から大企業に防止措置を義務付けたが、実効性に課題が残る。
 パワハラの要件は、優越的な関係を背景とした言動で、業務上必要な範囲を超えたものにより労働者の就業環境が害されるものと規定。厚労省は▽精神的な攻撃▽人間関係からの切り離し▽仕事を与えないといった過小な要求―など6種類の該当例を示している。
 法改正で6月から大企業に周知や相談体制の整備、迅速な対応といった義務が課された。中小企業には22年4月から適用される。
 ただ、パワハラ行為に対して罰則を伴う禁止規定はなく、労働問題に詳しい佐々木亮弁護士は「啓発とわずかな義務を定めたもので、一気にパワハラを減らせるものではない」と指摘している。 (山田晃史)

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