党員投票見送り「しっぺ返しくる」 首都圏の党都県連くすぶる不満<自民総裁選>

2020年9月2日 05時50分

自民党の総務会に先立ち午前中に開かれた役員連絡会後、記者会見する二階幹事長(左から3人目)ら=1日、東京・永田町で

 「党員無視のやり方だ」「残り任期は短く仕方がない」―。安倍晋三首相の退陣に伴う自民党総裁選で1日、党員投票が正式に見送られ、党員からはさまざまな声が上がった。首都圏の党都県連は、地方票の投票先を決めるために予備選挙を行う方針を相次ぎ表明。ただ党としての「開かれた総裁選」には遠く、不満はくすぶる。
 午後1時前、東京・永田町の自民党本部9階。約1時間45分にわたる非公開の総務会が終わると、党員投票実施を求めていた党青年局長の小林史明衆院議員は報道陣を前に、「正直に言って負けた」と力なく語った。
 東京都連幹事長の高島直樹都議は「首相の体調を考えれば党の決定は仕方がない」と理解を示しつつ、「党員の声を無視するわけにはいかない」とも。都連は同日、独自に予備選挙を行う方針を決め、最多得票の候補者に都連割り当ての3票を投じることを確認した。都内の党員・党友は約10万2000人。14日の総裁決定まで2週間もなく、都連は立候補者名を記載しないまま、7日にも投票用紙を郵送する。
 神奈川県連も予備選実施を決定。幹事長の土井隆典県議は「地方の党員あっての自民党。本来ならフルスペックで党員投票を行うべきだ。(時間がないと言うが)やろうと思えばできる」と訴えた。
 千葉県連幹部の男性県議は「党員投票なしの総裁選を最初から決めている感じがした」といぶかしむ。「党本部からノルマを課され、自分たちが一生懸命集めた党員の考えを無視するわけにはいかない」
 不満の声は一般党員からも。党員歴30年以上という相模原市中央区の会社社長松岡康彦さん(64)は「党員の士気は下がり、長い目で見て党にとって得策ではない。派閥の領袖だけで何もかも決め、党員をないがしろにするようなやり方をしていては(総選挙で)必ずしっぺ返しがくる」と批判する。
 20年以上党員歴があり、石破茂氏を応援する埼玉県の歯科開業医の男性(74)は「予備選が可能なら、党員投票だってできるはず。特定の候補を当選させるために党員の声を無視するようなやり方に見えて、とても納得できない」と憤った。 (岡本太、中谷秀樹、志村彰太、藤川大樹)

◆「正当性が問題になる」


 白鳥浩・法政大大学院教授(現代政治分析)の話 新型コロナウイルス対策などもあり、政治的な空白を作ってはいけないという理由で、緊急避難的に両院議員総会で総裁を決定するという手続きは理解できる。ただ
(1)自民党員の本当の総意として選ばれた総裁ではない
(2)総裁は総理大臣になるが国民の信を得ていない―
という2つの正統性が問題になってくる。党内の正統性と、政権の正統性だ。これらの正統性を担保するためには、早期の解散・総選挙が避けられないだろう。

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