モンゴル語教育大幅に削減に住民反発 中国自治区で学校ボイコット運動

2020年9月2日 05時50分
 【北京=中沢穣】中国内モンゴル自治区の教育当局が、9月の新学年開始を機に学校教育でのモンゴル語の使用を大幅に減らす方針を示し、少数民族モンゴル族が反発している。「民族のアイデンティティーが失われる」として学校に子どもを通わせないなどのボイコット運動が起きており、当局による拘束者も出ているもようだ。

◆中国語の使用を推進する同化政策

 習近平しゅうきんぺい政権は新疆しんきょうウイグルとチベットの両自治区で、現地の少数民族の言葉に変えて中国語の使用を推進する同化政策を進めており、内モンゴル自治区でも同様の政策が実施されているもようだ。
 現地からの情報によると、6月ごろに非公式の通知があり、9月から中学校以上では「モンゴル語」の授業以外はすべて中国語を使い、小学校でも一部教科は中国語で教える方針が伝えられた。自治区内でモンゴル族の子どもらが通う民族学校ではこれまで、中国語や英語を除く大半の科目でモンゴル語を使って授業が行われてきた。

◆学校に保護者らが詰め掛けて抗議

 学校再開を前に各学校の教師らが方針の徹底を求められるなどの動きを受け、8月下旬からモンゴル族の反発が広がった。国外に住むモンゴル族の男性によると、自治区各地の学校に保護者らが詰め掛けて抗議しており、保護者らが当局者に暴力をふるわれたり、拘束されたりする事態も。ネット上ではモンゴル族の多い通遼市の学校前でモンゴル族とみられる人々がプラカードを掲げて「モンゴル語はわれわれの母語だ」と訴える映像も拡散したが、男性は「情報統制が強化されている」と話した。
 一方、自治区教育当局は8月30日の通知で、小学1年と中学1年の「語文(国語)」で「国家統一の教科書が使われる」と中国語を教える方針を示しつつ、「現在のバイリンガル教育体系は不変だ」とも強調。反発に配慮した可能性があるが、来年以降に「道徳と政治」「歴史」の科目にも中国語使用を広げるとの官製メディアの報道もある。

◆モンゴル国と自治区が同じ文字

 内モンゴル自治区出身で静岡大の楊海英教授によると、ロシア語と同じキリル文字を使ってモンゴル語を表記してきたモンゴル国では、モンゴル文字に戻す方針が決まっており、「中国政府は、モンゴル国と自治区が同じ文字を使い、結びつきが強まることを警戒している」と指摘。経済発展が進めば漢族への同化が進むともくろんでいた中国政府の焦りも、モンゴル語削減方針の背景にあるという。
 同自治区の人口は2600万人あまり。このうちモンゴル族は400万人強だが、モンゴル国(約330万人)より多い。

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