米兵器を大量購入 対米追従で膨らむ負担<安倍政権 緊急検証連載>

2020年9月5日 06時00分
<一強の果てに 安倍政権の7年8カ月(5)>
 「私の後継者も日米同盟を強化する方針に変わりはない。安心してほしい」
 安倍晋三首相は8月31日、トランプ米大統領との電話協議でこう伝えた。敵基地攻撃能力の保有に向けた安全保障政策の見直しにも触れて「ミサイル阻止のための新たな方針を策定している。日米で緊密に連携したい」と実現に意欲を示した。

護衛艦「かが」で、トランプ米大統領と並んで訓示し、日米の軍事的一体化を強調する安倍首相=2019年05月28日、神奈川県横須賀市で(代表撮影)


◆敵基地攻撃能力も先取り

 首相は在任中、日米同盟の強化を名目に米軍と自衛隊の軍事的な一体化を推進。自衛隊が地理的制限なく海外に出向き米軍と一体的に活動できるようにするなど憲法や専守防衛を逸脱する取り組みを重ねてきた。
 対日貿易赤字への不満を示すトランプ氏に自動車の輸入関税引き上げを見送ってもらうため、長距離巡航ミサイルやF35戦闘機といった攻撃的な米国製兵器の大量購入も相次いで決定。周辺国を射程に収めるミサイルや、レーダーに映りにくいステルス性能で他国の領空侵入も想定するF35は敵基地攻撃能力を先取りするような兵器だ。自衛隊幹部は「現場で必要性を議論する前に、トップダウンで買ってから使い道を考える本末転倒のやり方が多かった」と明かす。
 制度面では2014年に憲法解釈を変更し、歴代内閣が禁じてきた集団的自衛権の行使を容認。15年の日米防衛協力指針(ガイドライン)再改定では、自衛隊が海外で米艦防護や支援をできると申し合わせ、国民の強い反対を押し切って安全保障関連法を成立させて法律上でも可能にした。

◆購入額は最大7000億円に

 首相は辞任前に敵基地攻撃に関する方向性を示すことに固執するが、攻撃的な米国製兵器の購入で能力の確保に向けて見切り発車していたのが実態だ。米軍の偵察衛星などとの連携強化が欠かせない敵基地攻撃能力の保有を決めれば、日米の一体化はさらに加速する。警戒感を強める周辺国に軍拡の口実を与え、かえって緊張を高めて地域を不安定化させかねない。
 米国製兵器の購入などでトランプ氏との「蜜月」を誇った首相だが、自動車問題も解決できたとは言い難い。トランプ氏が次期駐日大使に指名したケネス・ワインスタイン氏は8月5日の米上院外交委員会で、日本との貿易交渉に関して「特に自動車分野でさらに前進が必要だ」と強調した。
 首相主導の爆買いで、米政府を通じた「対外有償軍事援助(FMS)」での兵器購入予算は増加。第2次安倍政権の前には最大で1600億円だったが、15年度以後は3500億~7000億円の間で高止まりしている。負担増の避けられない対米追従を続けるのか、次期政権は重荷を背負っている。(上野実輝彦)

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