増税で所得再分配のバイデンVS減税テコに成長狙うトランプ

2020年9月6日 05時55分
<2020米大統領選 政策・徹底比較(上)経済>
 11月3日の米大統領選まで2カ月を切った。共和党のトランプ大統領と民主党候補のバイデン前副大統領が有権者に訴える政策はどんな違いがあるのか。3回に分けて検証する。
 新型コロナウイルスで疲弊した経済をどう立て直すかは大統領選の最大の争点のひとつだ。特に税制を巡っては、所得再分配のための増税をうたうバイデン氏と、減税をテコに経済成長を目指すトランプ氏が真っ向から対立する。
 バイデン氏は先月20日の指名受諾演説で「富裕層を優遇する税制は必要ない」と述べ、トランプ氏の減税を切り捨てた。金持ちに富が集中し、経済の不平等が拡大しているとして、バイデン氏は富裕層が豊かになれば、中低所得層にも恩恵が行き渡るとする「トリクルダウン」を否定する。
 そこで富裕層に対し所得税の最高税率を37%から39・6%に上げるほか、株式の譲渡益課税を強化。企業に対してもトランプ氏が35%から21%に下げた法人税を28%まで引き上げる。増税で生み出した財源を使って、連邦政府の最低賃金引き上げやインフラ投資を行い、経済の底上げを通じて格差の是正につなげる。
 これに対し、トランプ氏は先月27日の指名受諾演説で、バイデン氏の増税で10年間で4兆ドル(約420兆円)近い負担増になるとして「回復しつつある経済や株式市場は崩壊するだろう」と痛烈に批判した。
 トランプ氏は大型減税が米国経済に3%台の高い経済成長をもたらした実績をアピール。2期目も減税路線を堅持し、社会保障の財源となる給与税の減税などを掲げる。ただ税収の落ち込みをどう補うかは不明だ。

◆雇用は両者「米国第一」で競合

 一方で、雇用を巡っては両者が「米国第一」を競い合う。勝敗を左右する中西部のラストベルト(さびついた工業地帯)の激戦州で製造業の白人労働者らの支持を取り付ける狙いだ。
 トランプ氏は公約の筆頭に「10カ月以内に1000万人の雇用を創出する」と明記。新たに100万社の中小企業を生み出すとうたうが、具体策は示していない。また「バイデン氏は半世紀近い政治人生で米国人の雇用を中国に流出させてきた」と批判し、中国から100万人の雇用を取り戻すと明言。中国から米国内に回帰した工場を税制面で優遇する。
 対するバイデン氏も500万人の雇用創出を目指し、製造業の支援に4年間で7000億ドル(約74兆円)を投じる。「バイ・アメリカン」運動で、政府が調達する米国製品を増やし、研究開発に政府資金をつける。
 製造業の雇用に直結する貿易協定について、トランプ氏は引き続き雇用を守る「公平」な貿易協定を結ぶとしており、関税を武器に米国第一の通商政策を続ける。バイデン氏はトランプ氏の対中貿易戦争を「計画性がなく、農家らを苦しめた」と批判する一方で、「米国の労働者を最優先する貿易協定を追求する」と強調。ただ米国の競争力を高めるまでいかなる貿易協定も交渉しないとしている。(ワシントン・白石亘)

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