パラアスリートはつらつ! 半年ぶり公式戦 日本パラ陸上開幕 

2020年9月5日 21時20分

女子走り幅跳び(義足・機能障害T64)で自身の日本記録を更新する5メートル70をマークし、優勝した中西麻耶=いずれも熊谷スポーツ文化公園陸上競技場

 新型コロナウイルスの影響で延期となっていた日本パラ陸上選手権が5日、埼玉県の熊谷スポーツ文化公園陸上競技場で開幕した。全競技で開催が見送られてきたパラスポーツの公式大会の再開は約半年ぶり。感染リスクの高い障害者選手を守るため、徹底したコロナ対策が施された。

◆感染対策しっかりと

 選手一人一人に携帯用の消毒液を配り、手で触ることで周囲を確認する視覚障害選手らに利用を呼び掛けた。競技役員は全員が飛沫(ひまつ)防止のフェースシールドを着用。無観客開催で、選手の家族も入場を認めなかった。
 選手は待ちに待った実戦の場を歓迎。女子走り幅跳びの視覚障害クラスで東京パラ代表に内定している高田千明(ほけんの窓口)は「開催してもらえて本当に良かった。久々に会えた選手にも、いろんな話を聞けた」と喜んだ。
 大会では、女子走り幅跳び(義足・機能障害T64)で昨年の世界選手権(ドバイ)覇者で東京パラリンピック代表に内定している中西麻耶(阪急交通社)が自身の日本記録を19センチ更新する5メートル70で優勝。男子走り幅跳び(義足・機能障害T63)は東京パラ内定の山本篤(新日本住設)が6メートル49で制した。同やり投げ(上肢障害F46)は山崎晃裕(順大職)が60メートル09で優勝し、東京パラの出場権を争う世界ランキングで出場圏内の5番手に入った。女子走り幅跳び(義足・機能障害T63)は東京パラ内定の兎沢朋美(日体大)が4メートル29で勝った。(共同)
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◆中西、アジア新の大跳躍 女子走り幅跳び

競技を終え笑顔で手を振る中西麻耶

 パラスポーツの先陣を切って、本格的な競技会として再開された今大会。好記録も生まれ、久しぶりの試合にパラアスリートが躍動した。
 女子走り幅跳びの中西は、4回目の跳躍で自身の日本記録、アジア記録を更新する5メートル70の大ジャンプ。「練習から調子は良く、5メートル80以上跳びたい気持ちだった」と満足はしなかった。この半年で走力が上がり、そのスピードを生かして踏み切りに持っていくのが今後の課題だ。
 東京パラリンピックが延期になっても「今夏を目指していたピーキングを守りながらやってきた」。緊急事態宣言が出る前に、大分の実家から荒川大輔コーチのいる大阪に移った。競技場が使えなくても公園や河川敷で走り、練習の質は落とさなかった。「勝ち気な部分があるので、変な力みがファウルにつながっていた。力を抜くところは抜いて締めるところは締める。微妙な加減をもうちょっとつかまないと」と見据える。

◆待ちわびた実戦で山本堂々V 男子走り幅跳び

 男子走り幅跳びの山本は「試合に出たい」とうずうずしていた。今季は8月15日の日大競技会が初戦。普段は練習ではなく試合で、走るスピードと踏み切りのタイミングを合わせていくため、「まだ踏み切りで義足に乗り切れていない。うまく乗り切れば6メートル70、80は見えている」。東京パラの延期に関しては「ネガティブなことを考えても仕方がない。ただ試合がないと精神的にきつい」。無観客だが自身の跳躍前に手拍子を求め、会場を盛り上げようとする姿勢は健在だった。

男子走り幅跳び(義足・機能障害T63) 6メートル49で優勝した山本篤

 昨年の世界選手権で結果が出せず、悔しさから奮起した男子やり投げの山崎は2年半ぶりという60メートル台の好記録。元野球部で「初心に戻ってボールを投げ、軽いものを振り切る練習をして腕がしっかり振れるようになった」。持ち味のしなやかなフォームで、ランキングを上げ東京パラ出場を目指す。(神谷円香)

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