ふれる、触図発展の道 視覚障害者理解 高田馬場で企画展 

2020年9月6日 07時09分

多様な材料で凹凸を表現する公園案内板の原図などを展示する企画展=いずれも新宿区で

 視覚障害者が手で触って理解できるように、図や絵に描かれた線や点などに凹凸が付いている「触図(しょくず)」の発展の歴史をたどる企画展が、新宿区高田馬場2の「ふれる博物館」で開かれている。同館の母体施設・日本点字図書館で点訳者を務めた故・後藤良一氏(1928〜2010年)を触図の先駆者として挙げ、功績も紹介している。 (中村真暁)
 同博物館によると、触図は明治期から、盲学校の教材として作られた。障害者の人権意識が社会で高まった一九八〇年代に入り、同図書館に、駅や公園の触知案内図製作の依頼がくるようになった。伊藤宣真(のぶざね)・同博物館長(64)は「後藤さんの取り組みは先駆的だった」と説明する。

後藤良一氏

 後藤氏は一九五四年、初めて手掛けた点訳書「点字発達史」の図版を触図化。その後も同図書館創設者の本間一夫氏の要望を聞くなどして東京や大阪、京都などの案内図を作った。
 七二年には「触図研究会」を発足させ、さらなる表現方法を模索。八三年に視覚障害者の地図や図形に関する国際シンポジウムで新しい技法を発表すると高く評価された。この時紹介した「立体コピー技術」は現在も、世界中で使われているという。
 企画展では、後藤氏の遺品や論文などを含め、触図の歴史をたどる約四十点を展示する。九一年に同図書館が公園案内板を製作するため、シリコンの型を作る際に使った原図もある。壁紙を置いたり、接着剤の液を落としたりと、質感の異なる材料を組み合わせ、凹凸を出している。
 全盲の長岡英司・同図書館長(69)は「百聞は一触にしかず。百の言葉より、一度触ればクリアに理解できる。触図が役立ってきたことや、工夫して作られてきたことが知られれば、視覚障害者のことも想像しやすくなるのでは」と強調する。
 企画展は今月三十日まで。展示物は自由に触ることができる。開館日は祝日を除く水金土曜の午前十〜午後四時。コロナの感染防止のため事前予約が必要。予約や問い合わせは、ふれる博物館=電090(3247)7290=、火、木曜は日本点字図書館=電03(3209)0241=へ。
<触図> 視覚障害者が指で触って分かるよう、線や点に凹凸が付いたフロア図やイラスト、絵画など。点字では分からない画像情報が理解できる。駅や公園などの施設の案内図は「触知案内図」、日本列島など広範囲な地図は「触地図」とも呼ばれる。

後藤良一氏の遺品などが並ぶコーナーで、触図に触れる長岡英司さん(左)と伊藤宣真さん


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