レーモンドが設計!?「山手133番館」保全へ 目指せ「歴史的建造物」 一般公開も検討 

2020年9月6日 07時09分

山手133番館を示す山本社長

 歴史的な洋館が並ぶ横浜市中区山手地区にあり、取り壊しの恐れもあった「山手133番館」を民間の力で保全しようと、地元の土産菓子製造販売「三陽物産」が購入した。この建物は、西洋の近代建築を日本に持ち込んだ建築家アントニン・レーモンド(1888〜1974年)が設計した可能性もあるという。(志村彰太)
 土地は七百九十平方メートル。建物は木造二階建て、延べ二百八十七平方メートル。5LDKの母屋と、使用人が住む離れで構成されている。装飾を排した質素な外観と備え付けの収納と家具、本牧方面を見下ろせるテラスなどが特徴だ。敷地境界に「ブラフ積み」の石垣もあり、明治時代に造成されたとみられる。
 賃貸で人が住んでいたが、数年前から空き家だった。同社の山本博士社長(50)は五月、インターネットで土地と建物が売りに出されているのを見つけ、「このままでは取り壊され開発されてしまう」と危機感を覚え、買い取った。
 山本さんによると、建物は少なくとも一九三〇年以前の建築とみられる。当初は昭和シェル石油の前身の一つ「ライジングサン石油会社」が使い、戦後は日本人が賃貸住宅として所有していた。

敷地境界にあるブラフ積みの石垣

 133番館のデザインはレーモンド設計の他の建物と似ており、三陽物産は情報を募り、詳細を調べる。レーモンドはエリスマン邸(中区)や聖路加国際病院(東京都中央区)旧館などの設計で知られる。同石油会社が山手地区で借りた三つの建物のうち、133番館を除く二軒はレーモンドの設計と判明している。
 横浜の近代建築に詳しい横浜都市発展記念館の青木祐介副館長は「状況証拠はあるが、資料などで客観的に裏付けられなければ確定できない」としつつも「レーモンドの設計だとすれば歴史的発見」と話した。
 建物の状態は悪くないものの、内外装に手が加えられている。山本さんは、近代建築の修繕を得意とする兼弘彰・一級建築士(保土ケ谷区)に依頼し、建築当初の状態に復元する意向だ。保全・活用しながら、横浜市の「歴史的建造物」の認定を目指し、一般公開も検討する。
 市によると、山手地区の洋館は関東大震災(一九二三年)後から終戦直後に七十四軒建設されたが、三十三軒しか現存していない。うち二十軒以上は民間所有のうえ維持費が高く、保全が課題となっている。山本さんは「買い取れて良かった。レーモンドの設計と分かれば、さらに歴史的価値が高まる。これから調査していきたい」と胸を弾ませている。

建物内部=いずれも横浜市中区で


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