PCR検査、自動装置や判定キットの開発続々 民間企業「正確、早く、簡便に」

2020年9月7日 05時50分
 新型コロナウイルスの全自動PCR検査装置や短時間判定キットなどの開発が相次いでいる。自治体の費用負担による高齢者や障害者施設向けや、妊婦らの検査が増えるなど、検査需要は高まる。今冬のインフルエンザとの同時流行に備え、検査体制を整える医療機関が増える見込み。供給、需要の増加は、PCR検査と抗原検査で1日計20万件程度への検査体制の拡充との政府目標の達成につながるか。 (太田理英子)

◆採取以外は全自動、1時間で結果

 「開業医や基幹病院から予想を超える件数の注文が来ている」。医薬品メーカー「ミズホメディー」(佐賀県鳥栖市)は8月、1時間程度で結果が出る新たなPCR検査キットを発売した。同社担当者は「採取以外は全自動。技師がいない開業医も利用しやすい」と話す。

ミズホメディー検査キットのカートリッジ=同社提供

 鼻の奥の粘膜から検体を採取して試薬に混ぜてカートリッジにたらし、全自動の装置に装着すれば、コロナウイルス遺伝子の抽出や増幅、検出が行われる。これまで主流だった検査技師らによる複雑な前処理は不要で、時短実現に加え、手作業による感染リスクやミスが減らせる。
 いずれも税別でカートリッジ5回分が4万円、装置は48万円。同種の検査装置としては安価だという。受注数は明かせないが、増産を進める。

◆2時間半で一度に12検体を検査

 医療機器製造販売会社「プレシジョン・システム・サイエンス」(PSS、千葉県松戸市)の全自動PCR検査装置も8月にようやく、海外に続き国内でも発売された。提携するフランスの製薬会社のブランドで2015年から50カ国で約500台を販売。3月から国内での販売準備を始めたが「手続きに不慣れだった面もあり、認可申請に時間がかかった」(担当者)。

プレシジョン・システム・サイエンスの全自動PCR検査装置(同社提供)

 検査時間は約2時間半で一度に多くの検体を検査できる。参考価格は8検体まで検査できる機種は850万円。12検体用が1250万円。中、大規模病院から注文が入る。24検体を一度に検査できる機種も開発中だ。
 PSS社から全自動PCR検査装置を導入した千葉県松戸市立総合医療センターの担当者は「これまで救急患者や感染者の受け入れ時には抗原検査の簡易キットを使っていたが、PCRより精度が低いとされ、職員の感染リスクも心配だった」と振り返る。5月ごろから検査機器や試薬を探していたが、当時は国内外で供給が減って調達が困難だったという。担当者は「自国で製造されれば国内の医療機関にとっては助かる」と話す。

◆40~50分で検査の結果出る

 PCR検査よりも短時間で結果が分かる技術開発も進む。医療機器製造会社「キヤノンメディカルシステムズ」(栃木県大田原市)は、一定の温度で遺伝子を増幅できる「ランプ法」による検出試薬(約14万4000円)を1日に発売した。

キヤノンメディカルシステムズが開発した試薬(上)と専用装置(同社提供)

 温度を変えながら増幅するPCR検査よりも処理時間が短く、専用装置(120万~180万円)を使えば40~50分で検査結果が出る。厚生労働省などからPCR検査と同程度の精度と認められている。
 厚労省によると、1日現在、国内のPCR検査能力は1日約6万2000件。厚労省の担当者は「迅速な診断や感染防止のため、より正確に、すみやかに、簡便にという条件が満たされるなら望ましいことだ」と検査機器の開発が進むことへの期待を示している。

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