トランプ氏・駐留費負担増求める圧力VSバイデン氏・団結強調し中国に対抗

2020年9月7日 05時50分

<2020米大統領選 政策・徹底比較(中)外交安保>
 「米国は多くの裕福な国を守っているが、彼らはわずかな金額だけ払い富を築き、貿易でわれわれを傷つけている。ばかげている」
 再選を目指す共和党のトランプ大統領が昨年5月、フロリダ州の集会で訴えると、支持者たちはうなずき同調の声を上げた。
 米国は世界の自由主義体制をリードし、自らの繁栄を維持するため同盟国に米軍を駐留させているが、トランプ氏は「米軍が駐留国を守っている」ことを強調し、費用負担の大幅増を各国に突きつけている。

◆前代未聞、韓国に5倍、日本には4倍超求める

 韓国には現状の5倍を要求。日本側は「正式な打診はない」と説明するものの、既に全体の約75%を負担しているとされる日本にトランプ氏は4倍を超える8500億円を求めていて、前代未聞の要求だ。
 「米軍を撤退させると脅せ」。各国との交渉にあたりトランプ氏からそう指示されたと、ボルトン前大統領補佐官は著書で証言している。ドイツはロシアの脅威にさらされる中でもトランプ氏の要求に応じず、米国は在独米軍の3分の1にあたる1万2000人の撤退を決めた。
 韓国との交渉は行き詰まり、日本との正式交渉は大統領選後に始まるが、トランプ氏が再選されれば内向きな「米国第一主義」のレガシー(遺産)の1つとして圧力を強めるのは確実。米国と同盟国のあつれきはさらに深まるとみられる。
 一方、民主党のバイデン前副大統領は、「中国に甘い」との批判を受け「厳しい姿勢でのぞむ」と表明。その方策として、トランプ氏が傷つけた同盟関係を再構築し「団結した戦線」で圧力をかけるとしている。
 このため、同盟国に「4倍」「5倍」と費用負担を求め脅すようなトランプ流の交渉術とは懸け離れた対応をとるとみられる。

◆環境、育児、介護に巨費…米軍の肩代わり要求も

 だが、大統領選では環境や育児・介護政策に巨費を投じ、医療保険拡充や学生ローンの一部免除などを含め「大盤振る舞い」を公約。当選すれば財源に苦しむとみられている。トランプ政権同様に国内に重点を置く結果、海外で同盟国に米軍の肩代わりを求める可能性が指摘されている。
 日本に対しては費用負担だけではなく、台湾や南シナ海での中国軍の軍事圧力に対抗するため、米軍とより一体化した役割を迫ってくる展開も考えられる。
 核政策では、トランプ政権は中国やロシアを「大国間競争」の相手とし、使いやすい小型核の開発を進め核実験も検討するなど、増強一辺倒の姿勢だ。
 バイデン氏はトランプ政権の核政策を批判し、オバマ前大統領が提唱した「核なき世界」に近づくよう努力すると表明している。ただ、民主党は「強い抑止力を維持する」とも主張している。核戦力を急速に強化させている中国を前に、現政権の方針をどこまで転換するかは明確ではない。(ワシントン・金杉貴雄)

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