コロナ患者専用のプレハブ病棟が活躍 感染対策徹底、他の病気の人も受け入れ

2020年9月7日 05時55分

駐車場の敷地に3週間で建てられたプレハブ病棟=いずれも千葉県松戸市の千葉西総合病院で

 

◆松戸市の千葉西総合病院、5月中旬から運用

 新型コロナウイルスに感染した患者を受け入れる専用のプレハブの病棟を設けることで感染対策を徹底し、他の病気で来院する患者をより多く受け入れている病院がある。千葉県松戸市の千葉西総合病院。プレハブの建設費は3億5000万円で、5月中旬から運用を始めた。三角和雄みすみかずお院長(62)は「新型コロナによる病床の逼迫ひっぱくや医療崩壊も防げると思う」と意義を強調する。 (井上靖史)

◆別館駐車場に30床、個室にエアコンも


 「今日の新規入院は3人、みな軽症です」。同病院のコロナ専用プレハブ「伝染性感染症病棟」は現在も毎日、入退院がある。病院本館から路地を1本隔てて立っている別館の駐車場に5月に整備した。
 軽症や中等症向けの20床、重症向け10床がある。20床は個室でエアコンやWi―Fiも完備する。今月3日現在、22人が入院しており、県内最多。秋以降の流行を見据え、今後、20床の増床を計画している。

 プレハブのコロナ専用病棟の効果を語る三角和雄院長

◆本館と完全分離「職員の疲弊減らせる」


 三角院長によると、プレハブ病棟専属の看護師を1人暮らしの入寮者の中から募り、報酬の上乗せも約束して25人を確保した。本館と行き来できないよう専用色のユニホームにし、通行証も分けた。画像診断できるコンピューター断層撮影(CT)棟や、シャワーを浴びてウイルスを洗い落とせるスタッフ専用の事務棟も建てた。「本館とは完全に分離しているので防護服を脱いだり着たりする回数、職員の疲弊を減らせる」と三角院長は言う。
 同病院はもともと循環器系の手術を主力とし、感染症指定医療機関ではなかったが、三角院長は「コロナ患者の受け入れは社会の要請」と受け止めたという。今春の流行を踏まえ、立案から着工、完成まで3週間の突貫工事を実施した。

軽症~重症者向けの30床を備えるプレハブ病棟の内部

◆院内感染きっかけに急ピッチ


 計画は以前からあったが、急いだきっかけは、院内感染が起きたことだった。コロナが首都圏でまん延した4月、同病院で最初の院内感染を確認。5月までに入院患者や看護師、医師の計14人が感染した。素早くPCR検査をして小規模に収めたが「不安で他の診療もままならない」と痛感したという。現在は入院患者全員のPCR検査を徹底、発熱の外来患者に対応するPCRセンターも屋外に設けてウイルス侵入を防いでいる。
 こうした取り組みに対する評判は口コミで広がり、カテーテル治療などを希望する患者が全国から来訪。コロナ流行前、月に250件ほどだった手術は現在、300件ほどに増えた。

◆「収束困難。普及が必要」


 厚生労働省によると、こうした専用病棟は全国的にまだ珍しい。国による県を通じた補助制度はあるものの、コロナが収束した場合の費用対効果を考えると、億単位の出費に踏み切れない病院が多いとみられる。
 三角院長は「コロナは簡単に収まらないと思う。今後も新しい感染症がはやる可能性はあり、必要だ」と強調する。「布マスクに使う数百億円があればプレハブ病棟を100カ所以上造れた。各都道府県に数カ所設ければ、病床の逼迫も院内感染などによる医療崩壊も防げると思う」と訴えている。

関連キーワード

PR情報

社会の最新ニュース

記事一覧