家電や家具を再現したリアル系ミニチュアに大人が夢中 新橋駅にカプセルトイの専門店が出現

2020年9月7日 07時13分

JR新橋駅構内にあるカプセルトイ専門店ケンエレスタンド。ずらりと並ぶマシンに大人が足を止める=港区で

 起毛感のあるフワフワのソファ、スイッチが並ぶオーディオ機器…。家具や家電を小さくしたようなリアル系ミニチュアを中心に扱うカプセルトイの専門店「ケンエレスタンド新橋駅店」が7月、JR新橋駅の改札内にオープンした。リアルなカプセルトイに、駅を利用する大人たちが夢中になっている。
 高級感漂う黒色の筐体(きょうたい)約80台が照明に照らされ、ずらりと並ぶ。ディスプレーされているのは有名メーカーの家具家電やご当地名物のミニチュアたち。洗剤は裏面の成分表示まで再現し、アウトドアグッズはブランド名も刻印するほどの作り込みに多くの人が足を止め、のぞき込む。
 1個300〜500円。男性会社員(26)は「テンションが上がった。おもしろい」と2個ゲットし、20代女性も「かわいい。デスクに飾りたい」と話すなど人気は高く、1日300個ほど売れるという。

カプセルトイのこだわりについて話すケンエレファントの石山健三社長=千代田区で

 店を運営するのはカプセルトイの企画販売を手掛ける「ケンエレファント」(千代田区)。「世界をおもしろくしていく」という理念のもと、リアルすぎるミニチュアで大人の物欲を刺激。同社の石山健三社長(58)は「再現できないものはほぼない」と胸を張る。
 サラリーマンだった石山社長が2000年に創業。飲料などにつけるおまけの企画販売の会社としてスタートした。当時は中身がわからないように袋に入れたフィギュアなどをつけて飲料を売る手法がブームに。「ペットボトルバブルだった」と石山社長が振り返るように、コンビニには人気キャラのおまけがついたペットボトルがずらりと並んでいた。
 同社は毛ガニや木彫りのクマなど北海道名物や恐竜をリアルに再現したフィギュアでヒットを連発。わずか数年で年間売り上げが30億円に達するほど急伸した。
 ところが2005年、公正取引委員会がこの販売手法を問題視。飲料メーカーや業界団体に注意したことで、おまけ商法は下火になり、同社の業績も一気に落ち込んだ。倒産寸前に追い込まれた石山社長は連日、スタッフと新規事業を模索。その中で、得意分野のリアルなミニチュアをカプセルトイにすることに行き着いた。
 12年2月、新千歳空港のリニューアルに合わせ、北海道名物を再現したカプセルトイのマシンを空港に設置。これが大ヒットした。旅行に来た大人が楽しみながら遊び、お土産として持ち帰る姿に手応えを感じた。那覇空港にもシーサーやジンベエザメなどのミニチュアを集めたマシンを設置すると、またしても人気になり、県内全域のコンビニやホテルにも広まった。同社の売り上げは徐々に回復していった。

家具のミニチュア

 復活を支えたリアルさの追求は徹底的だ。ミニチュアは販売元のライセンスを得て、元の商品を参考に3Dデータ化して製造。パッケージの注意書き、家電のふたが開閉するギミックまで再現するなど、やりすぎとも言えるほどリアルさにこだわっている。

電化製品のミニチュア

 石山さんは「徹底的にリアルだからおもしろい。あらゆるものをミニチュアにしたい」と笑う。今後は「質感を出すのが難しい」という食品や景色のミニチュアにも力を入れるそうで、「将来的にはミニチュアの博物館を作りたい」と、壮大な夢をリアルに思い描いている。
 文・西川正志 写真・安江実
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