中国のペット産業10年で15倍 経済成長でゆとり、「癒やし」求める

2020年9月8日 05時50分

7月下旬、北京市のペットカフェ「ラッキー ダッキ-」でアヒルと触れ合う子ども=坪井千隼撮影


 中国でペット関連産業が急拡大している。経済成長でペットを飼うゆとりが生まれたほか、一人暮らしが増えるなどのライフスタイルの変化を背景に、ペットに「癒やし」を求める人が増えたからだ。ペットと触れ合う「ペットカフェ」も人気を集めており、犬や猫はもちろん、アヒルやカピバラといった個性的なペットで顧客にアピールする店も登場している。(北京・坪井千隼、写真も)

◆犬、猫は競争激しく「アヒルカフェ」で勝負

 「グワッ、グワッ」。鳴き声を上げるアヒルを、小学生の女の子が抱きかかえる。北京市内のペットカフェ「ラッキー ダッキー」を訪れると、多くの客でにぎわっていた。女子大学生の劉さん(23)は「動物をなでていると気分が和らいで、幸せな気持ちになる」と笑った。
 同店ではアヒルを目玉に、ミニブタやウサギなど20匹を飼育しており、来場客が触れ合うことができる。料金は1人45分間で89元(約1400円)。1月にオープンする予定だったが、新型コロナウイルスの流行を受けて延期し、4月に開店にこぎ着けた。
 経営者の田煦輝でんくきさん(30)は、「犬や猫のペットカフェは多いので埋没してしまう。競争に勝ち抜くため、珍しいペットを強みにしようと考えた」と話す。

◆中国全土で5%、7000万人がペット飼う

 ペット関連の大手民間企業などがまとめた「中国ペット産業白書」によると、2019年のペット関連産業の市場規模は2024億元(約3兆円)と、ここ10年で15倍の規模に成長した。ペットを飼っている人は、中国全土で人口の5%、7000万人を超える。
 ペットを飼う人が増える一方で、北京や上海などの大都市を中心にペットカフェも増えている。四川省成都市では、客が特殊な手袋をしてハリネズミに触ることができたり、カピバラと触れ合えるカフェまで登場し人気を博している。
 ペットのエサや健康、美容などを扱う関連産業も伸びている。都市部では美容室や写真店、ホテル、葬儀場といったペット専用サービスを提供する店舗も相次いで登場している。

 ◆飼い主の8割近くが20~30代

 ペット産業が急拡大したのは、中国経済が成長し、人々にペットを飼う経済的余裕が生まれたことが大きい。加えて精神的な「支え」や「癒やし」をペットに求める人が増えたことが背景にある。
 中国大手ネット販売会社「京東」などが実施したペット市場調査によると、飼い主の8割近くを20代、30代の若い世代が占める。中でも、都市部で暮らす大卒以上の未婚の若者の割合が高いという。
 共産党機関紙、人民日報(電子版)は専門家の話として「経済成長で物質的な豊かさが満たされ、精神的な豊かさへのニーズが高まったからでは」とペット需要の高まりを分析。伝統的に大家族が多かった中国だが、近年では都市部の若い世代で核家族や独身世帯が増え、「疑似家族」としてペットを求める人が増えたことも一因に挙げた。

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