トランプ氏「法と秩序維持」VSバイデン氏「分断深くなった」 「移民」「銃」でも違い鮮明

2020年9月8日 05時50分

<2020米大統領選 政策・徹底比較(下)人種問題で火花>
 「市長はバイデンのように無能だ。連邦政府に支援を求めよ」
 先月末、西部オレゴン州ポートランド市の人種差別抗議デモで起きた殺人事件。トランプ大統領が現地の民主党市長の対応を非難すると、バイデン前副大統領もすかさず反撃した。「トランプ政権で、われわれは安全でなくなった。分断はより深くなった」
 数ある社会課題の中でも、人種問題とデモへの対応は両者が最も激しく火花を散らすポイントだ。

◆支持基盤は白人保守層、差別解消に後ろ向き

 支持基盤の白人保守層を念頭に「法と秩序」の重要性を繰り返し、暴徒化した一部群衆の鎮圧に武力行使も辞さないトランプ氏。2018年には、オバマ前政権が推進した大学入学選考での少数派優遇の指針を撤廃するなど、差別解消には後ろ向きな姿勢が目立つ。
 ただ、そうした批判を意識してか、先月の共和党大会では黒人の応援演説者を相次いで投入するなど、イメージ刷新も図っている。

◆不平等解消盛り込み少数派取り込む

 対するバイデン氏は公約に「住宅や医療、教育などの不平等解消に積極的に取り組む」と盛り込み、黒人など少数派の取り込みを狙う。政権幹部の大半を白人が占めるトランプ氏を念頭に、スタッフの任用にも多様性を持たせる考えだ。
 最近では自身かトランプ氏で支持を迷うなら「それは黒人ではない」との失言もあっただけに、黒人への過剰な暴力などを防ぐための刑事司法改革など幅広い是正策をアピールする。

◆国境の「壁」でも違いくっきり

 16年大統領選でトランプ氏がメキシコ国境での壁建設を主張し、たちまち争点化した移民政策でも2人のスタンスの差は鮮明だ。
 トランプ氏は公約に基づき建設を進めた壁を今後も延伸する方針。新型コロナウイルス拡大による景気悪化後は「国内雇用を守るため」としてビザの発給制限にも踏み切った。連邦最高裁で無効と判断されたものの、子ども時代に親に連れられて不法入国した若者の強制退去を猶予する救済策「DACA」も廃止した。
 こうした強硬姿勢に対し、バイデン氏は「移民国家としての価値を守る」と主張。国境の壁を建設する代わりに入国審査の充実などに資金を投入すると訴え、DACAの廃止にも反対する。国内に1100万人いるとされる不法移民の市民権取得にも前向きだ。

◆銃規制でも「強化」と「慎重」に

 17年に58人が犠牲となったラスベガスでの乱射事件など、相次ぐ悲劇のたびに議論される銃問題では、バイデン氏が銃の購入者の身元確認強化や殺傷力の高い銃の製造・販売規制を訴える。一方、トランプ氏は全米ライフル協会(NRA)が共和党を支持することもあり、銃の所持は憲法上の権利との立場を強調。規制には慎重な姿勢をとっている。(ニューヨーク・杉藤貴浩)

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