<新型コロナ>休業要請「納得できなかった」 応じず店名公表のパチンコ店 県は「休め」の一点張り

2020年9月8日 07時24分

男性が経営するパチンコ店。感染防止のためビニールの壁が設置されている=県内で(6月に撮影)

 「なぜ休業しなければならないか、明確な説明がなかった。納得できなかった」。県が四、五月に新型コロナウイルス特別措置法に基づきパチンコ店に休業要請した際、一回目は要請に応じたが、二回目は従わずに店名を公表された県内のパチンコ店の男性経営者が取材に応じた。「足並みをそろえるつもりがないわけじゃない。理由がほしかった」と振り返る。 (石原真樹)
 男性によると、四月二十五日ごろ、県の担当者から「五月六日まで休んでほしい」と連絡を受けた。もともと店内に強力な換気設備を導入しており、四月からは稼働させるパチンコ台を半分にして客同士の間隔を空け、席や台の消毒もこまめにした。「対策はちゃんとしている」と訴え、休業が必要な理由を尋ねた。
 しかし、明確な答えはなく「とにかく休んでくれ」の一点張りだったという。折れた男性は「七日から開けますよ」と念を押した上で要請に応じることにし、六日まで休業した。
 ところが政府が緊急事態宣言の期間を延長したことで、七日以降も休業するよう求められた。男性は親族の医者から新型コロナの感染リスクを学び「客が話さず台に向かってパチンコするだけなら、対策をしていれば感染した人が来ても集団感染は起きない」と考え、予定通り七日に営業を再開。すると店名を公表されたという。
 男性は二回目の休業要請に従わなかった理由について「会社として雇用を守らなきゃいけないこともあるが、納得できなかったことが大きい」と語る。
 当時、パチンコ店でクラスター(感染者集団)が発生したという情報はなかった。それでも店名公表に踏み切った理由について、県は窓口に寄せられた苦情の六割以上がパチンコ店だったことを挙げる。他の業種でも休業要請に応じない店はあったが、店名公表には同業の店を全部調べて営業中の店を特定しないと不公平になるとして、電話や文書で休業を求めるにとどめた。黒岩祐治知事は八月の記者会見で「パチンコ店が目立ち、それ以外の個別の店についても耳に入ったが、特措法の中で業種別という形にくくれなかった」と振り返った。
 ただ、こうした説明は、パチンコ店側には「たたきやすい業種をたたいている」ように映る。
 パチンコ店ばかりがやり玉に挙がるのは「毎度のこと」と男性。「東日本大震災のときにも、石原慎太郎都知事(当時)がパチンコ店を名指しして批判した」と自嘲気味に話す。営業再開後、住民に一一〇番されたこともあった一方、「町の活気がなくなるからやってて」と店に遊びに来てくれた自営業仲間もいたと明かし、「きちんと税金を納め、雇用を生み出している産業であることは分かってほしい」と訴える。

◆専門家「法の趣旨とずれ」

 川本哲郎・同志社大元教授(刑事法)は、新型コロナ特措法に基づく店名公表は、周知により市民が施設に行かないようにするためだと説明する。ところが実際には、公表されたパチンコ店に客が集まる事態が起きた。「法の趣旨とずれ、制裁の意味合いが強い。パチンコ店をスケープゴートにして市民に『言うことを聞かないとああなる』と思わせており、相当ではない」と指摘する。

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