<ふくしまの10年・新天地にそよぐ風>(6)町の空気が動き始めた

2020年9月8日 07時31分

JR常磐線夜ノ森駅周辺。手前の住宅地は帰還困難区域=本社ヘリ「あさづる」から

 大学生による被災地支援のボランティア団体「そよ風届け隊」の創設メンバーで、富岡町の町づくり会社「とみおかプラス」で働く鈴木みなみさん(29)は二〇一九年、いわき市から富岡町に引っ越した。
 「どうしても被災した人たちの声が聞こえる場所にいたいと思いました」
 富岡町には、原発事故から十年近くたった今も許可なく立ち入りできない帰還困難区域が残り、人口の多かった夜の森地区も含まれる。そんな事情もあり、町内に住む人は千五百人弱で、住民登録者の九割近くは避難中だ。かなり住民が戻った隣の楢葉町と比べると被災地の色合いが今も濃い。それでも鈴木さんが最初に訪れた一四年当時と比べると、「町の空気が動き始めた」と感じるという。
 娘のみちるちゃん(3つ)が通うこども園は昨年春に七人の子どもでスタート。現在は二十三人に増えた。
 「最初は子連れで町を歩くと驚かれることも多かった。でも、最近は皆さんの方が慣れてくれたみたいです」
 鈴木さんの現在の仕事は、町のPR広報の一環として、視察に訪れる人の案内やコーディネートをすることだ。
 東京電力福島第二原発の見学ツアーを仲介したり、双葉郡の「寄り合い所」として生まれた情報センター「ふたばいんふぉ」の運営を手伝ったりで忙しい。
 「自分が一番力を発揮できる場所にようやくたどり着いた。そんな実感があります」と笑顔で話した。
 「今から十年後、よそから来た人がこの町を見て、人々が豊かに楽しく暮らしているなと思ってくれたら、うれしいです。その手伝いをできれば、私は満足です」
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