上智大生殺人事件から24年 警視庁捜査1課が語る「強い信念」

2020年9月9日 05時56分

1993年の英語ボランティア活動で撮影された小林順子さんの写真

 1996年に東京都葛飾区で上智大の4年小林順子さん=当時(21)=が殺害、自宅を放火された事件は9日、未解決のまま発生から24年を迎えた。昨年の春から捜査を指揮する警視庁捜査1課特命捜査第4係長の井上敦士警部(54)ら捜査員は「犯人に直結する証拠が残り、一気に事件が動きだす可能性はある。強い信念と緊張感を維持し、捜査を進めていく」と決意を語る。(奥村圭吾)
 激しい雨が降っていた同年9月9日午後3時50分ごろ。夢の米国留学を2日後に控え自宅にいた小林さんは、仕事に出掛ける母親に「こんなに雨が降っていても自転車で行くの?」と心配して声を掛けた。これが最後の言葉となった。近隣住民から火事の119番が入るまでの約45分間に事件は起こった。
 捜査関係者によると、小林さんは、焼けた自宅の2階西側の両親の部屋で、白のTシャツと黄色の短パン姿で倒れていた。首に複数の刺し傷があり、粘着テープで口をふさがれた上で両手を縛られ、両足をストッキングで縛られていた。

◆傘をささない不審な男

 犯行時間帯には、玄関前で身長160センチ前後の不審な男が雨の中、傘をささずに現場を見つめる様子が目撃されている。男は黄土色っぽいコートと黒っぽいズボンを身に着けていた。
 場当たり的な犯行か、怨恨か―。井上警部は「現場の状況などからは明確な動機を絞り切れず、あらゆる可能性を視野に捜査を進めている」と話す。
 現場の引き出しから1万円が無くなっていた一方、預金通帳や、小林さんが留学のために準備していたトラベラーズチェックや現金など十数万円は手つかずだった。聞き込みの結果、小林さんに恨みのある人物は浮かんでいないという。

◆マッチ箱に残されたA型の血液

 そんな中、捜査員が注目するのは、1階玄関の靴ラック上に残されていたマッチ箱に付着した「A型」の血液と、遺体に掛けられていた布団などに残されたDNA型だ。井上警部は「犯人が別の事件で捕まるなどすれば、事件解決の端緒となる。最新の科学捜査も駆使して被害者の無念を晴らしたい」と望みをつなぐ。
 井ノ口徹捜査1課長は「今も捜査員は、今日こそ犯人を捕まえるという強い信念で捜査に当たっている。情報が捜査員の力にもなるので、情報提供をお願いしたい」と呼び掛ける。
 同課によると、8月末までに延べ10万9663人の捜査員を投入。これまでに1574件の情報が寄せられている。情報提供は亀有署捜査本部=電03(3607)9051=へ。

関連キーワード

PR情報

社会の新着

記事一覧