東村山→都心への無料通勤バス「銀河鉄道」が11日に最終便 新型コロナの不安解消で3月から運行  

2020年9月9日 07時11分

無料の通勤バスを半年間、運行してきた銀河鉄道の山本宏昭社長=東村山市で

 通勤ラッシュ時の新型コロナウイルス感染に不安を感じる人のために運行してきた、西武線東村山駅から都心へ向かう無料通勤バスが11日に終了する。東村山市のバス会社「銀河鉄道」が3月から平日朝に2便の運行を続けてきた。山本宏昭社長(57)は「この間、電車通勤中の感染の話は聞かず、無料バスの利用者数も落ち着いてきた」と説明。本業の地元路線バス事業、貸し切りバスに注力する考えだ。(林朋実)
 山本さんは、今春、コロナの感染拡大を受け「地域への恩返しのため」と貸し切り用の大型観光バスに無料で通勤客を乗せることにした。乗客は二席につき一人にして密を避け、換気にも気を使った。三月十二日からの半年間で、延べ二千二百人以上が利用した。
 自社も厳しい経営を余儀なくされていた。コロナ禍で小中学校の校外学習用の貸し切りバスのキャンセルが相次ぎ、売り上げは激減。それでも、無料バスの運行を始めた時には「会社がつぶれるかコロナが収まるまで続けよう」と心を決めていた。
 取り組みがメディアで紹介されると、全国から激励や寄付が相次いだ。「勇気をもらった」「自分も何かしようと思った」という電話や手紙が何十件も届いた。
 「寄付の代わりに」と定期券を買ってくれた家族や、米や野菜を持ってきてくれた農家もいた。山本さんは「まだ日本人も捨てたもんじゃない、と涙が出た」と振り返る。
 今回、同社が無料バスに一区切り付けることにしたのは、通勤電車内の感染例はほとんど報告されていないのが理由だ。九月一日に運行終了を公表した後、最終日十一日までの予約は埋まった。とはいえ、社の経営はなお厳しい。貸し切りバスの予約は少しずつ入っているが、需要は回復には程遠い。路線バスの乗客もコロナ前の六割程度にとどまる。
 家族に不幸もあった。六月に次女が二十四歳で突然病気で亡くなった。山本さんは「先月、娘が夢枕に立ち、言ったんですよ。『パパは生きて、やることがあるよ』って」と明かす。そして、こう前を見据える。「仕事を続けて地域の路線バスをつぶさないことも、住民のために大事なことだ」

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