<ふくしまの10年・新天地にそよぐ風>(7)「芸術家村」を作れたら
2020年9月9日 07時20分
森亮太さん(29)は立命館大学を卒業後、一度は楢葉町が出資する宿泊温泉施設の職員となったがほぼ一年で退職。現在はフリーランスのグラフィックデザイナーとして、パンフレット作りなどを請け負っている。町でよく見かけるイラスト満載の楢葉町のガイドマップ「ならは散策マップ」も彼の作品だ。
一方で、復興庁が主催する「復興・創生インターン」で学生たちの指導役も務めている。同インターンは学生が被災地に入り、約一カ月間の共同生活を送りながら、現地の起業家らと就業体験を積むプログラム。
今年の夏は新型コロナウイルスの影響でオンラインでの実施となったが、二十一人の学生が参加している。インターネット回線を通じてのやりとりは難しい点が多いかと想像していたが、学生たちの熱気が伝わり、やりがいを感じるという。
「普通なら海外留学を目指すような学生が、渡航できないために福島などの被災地で経験を積もうとしています。優秀な人材がどんどん入ってきています」
また、森さんは楢葉町の地域おこし協力隊にも登録し、自分自身で起業する道を模索する毎日だ。
震災後にJRいわき駅前に復興商店街「夜明け市場」をつくった若い起業集団「タタキアゲジャパン」の存在が、よい刺激、よい目標になっているという。
「美術、音楽、文学などのアーティストが滞在して交流し、刺激を与えあうようなアーティストレジデンス(芸術家村)を作れたら楽しいなと思います。僕は、そのためのつなぎ役になりたい」と夢を語った。
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