ワクチン開発「安全を最優先」 欧米製薬9社が声明、政治利用けん制

2020年9月9日 19時47分
 【ワシントン=岩田仲弘】新型コロナウイルスのワクチンを開発中の欧米の製薬会社9社トップは8日、高い倫理基準と正当な科学の原則に基づき、安全を最優先するとした異例の共同声明を発表した。11月3日の米大統領選前の実用化を繰り返し訴えるトランプ大統領ら大国指導者による政治利用と主導権争いを業界側から強くけん制した。

◆安全、効果実証まで使用許可求めず

 声明を発表したのは、米ファイザー、英アストラゼネカ、フランスのサノフィ、ドイツのビオンテックなどの最高責任者。米国の食品医薬品局(FDA)など専門当局による要件を満たした最終段階の臨床試験(治験)で安全と効果を実証するまでは、当局に承認や緊急使用許可を求めないことも確認。全世界的な供給体制を整備することも申し合わせた。
 このうちアストラゼネカ社は8日、英オックスフォード大と共同開発しているワクチンの治験中断を発表。米メディアによると、同社の担当者は治験で「正体の分からない病状」があらわれたと説明。英国での治験で参加者に副作用が出たとみられる。

◆ロシアでは治験終了前に承認も

 世界中でウイルス感染の死者数が約90万人に上り、世界ではワクチンに対する期待が拡大。ロシアのプーチン大統領は先月、治験終了前に世界で初めてワクチンを承認したと発表した。トランプ氏も「ワープスピード作戦」と呼ぶ開発計画を進め、最近は大統領選前の10月中にも実用化できる可能性を繰り返し強調。米疾病対策センター(CDC)は10月末か11月初めに医療従事者らにワクチンが行き届くよう各州に準備を要請した。
 ただ、専門家は早期実用化に懐疑的だ。米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は8日、米公共放送(PBS)で、大統領選までの実用化は「見込みがないと思う」と指摘した。

関連キーワード

PR情報

国際の最新ニュース

記事一覧