AIコンテスト 東京高専チーム最優秀 印刷物文字→点字に自動翻訳

2020年9月11日 07時17分

コンテストで最優秀賞を受賞した学生と指導する山下准教授(後列右端)=八王子市で

 人工知能(AI)を活用したビジネスモデルの将来性を競う「全国高専ディープラーニングコンテスト」(日本ディープラーニング協会主催)で、東京工業高等専門学校(八王子市)の学生七人のチームが、印刷物の文字を点字に翻訳するシステムを提案し、最優秀賞を受賞した。視覚障害者に寄り添った提案は社会性も評価され、「企業評価額」は五億円相当とはじき出された。(布施谷航)
 チームが開発したのは自動点字翻訳システム「てんどっく」。印刷物をスマートフォンやタブレット端末で撮影して送信すると、コンピューターが自動で点字化。一分以内で「点字プリンター」などに出力してくれる。コンピューターが翻訳に手間取った部分は点字翻訳の専門家がAIに正解を学習させる。使えば使うほど、利用者が理解しやすい点字が出力される。
 先月二十二日にオンラインで開かれたコンテストには、一次、二次審査を通過した全国の十一校が出場した。企業家や投資家ら五人の審査員が、技術力の高さや事業化の可能性などを金額に換算して採点。東京高専チームのシステムは企業評価額「五億円」、投資総額「一億円」と算出され、最優秀賞を獲得した。
 チームリーダーの板橋竜太さん(19)は「視覚障害者はビジネス対象ではなく、協力者。システムの利用者を企業に設定した」と説明する。企業が利用者となって飲食メニューや店内案内などさまざまな文字情報の点字化に協力すれば、視覚障害者にとって暮らしやすい社会になり、企業のイメージ向上にもつながる。
 審査員からは「テクノロジーを活用して情報アクセスの不平等を解消する社会的な意義がある」と評価された。技術力に加え、視覚障害者に対する学生の温かいまなざしも最優秀賞受賞の大きなポイントになったようだ。
 チームのメンバーは「これまでは技術を開発したら終わりだったが、社会での活用を考えるのは新鮮な経験だった」と最優秀賞受賞で社会貢献への意欲を強めた。指導する山下晃弘准教授は「これからも視覚障害者にどのような技術を提供できるか、学生と探っていきたい」と話した。

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