前橋の塩原家住宅3棟が国重文指定へ 国内最大級の養蚕農家建築
2019年10月31日 02時00分
国内で最大級の養蚕農家建築とされる前橋市田口町の「塩原家住宅」主屋など三棟が国の重要文化財に指定されることが決まった。
主屋は木造三階建てで、建築面積は約四百三十四平方メートル。文献などから一九一二(大正元)年の建築と考えられる。一階の大半は事務室や台所などの居室空間で、二階は養蚕作業に、三階は蚕種(蚕の卵)作業で使っていた。
約五千平方メートルの敷地にある江戸末期の土蔵造りの裏蔵と一九〇七(明治四十)年に建てられた稲荷社も指定される。文化審議会が十八日に出した文部科学相に重文の指定を求める答申では、蚕種を製造・販売した近代の民家の様子を示していると評価された。
塩原家は明治~昭和にかけ、中毛地区の蚕種製造を主導。独自の改良種「塩原亦(また)」は県内外で広く販売された。昭和四十年代に蚕糸業界が低迷期に入ると、一九七九年に会社を休業し九六年に廃業した。
今回の指定により、県内の国宝・国重文(建造物)は二十六件、計八十棟となった。(市川勘太郎)
関連キーワード
おすすめ情報