<かわさきリポート>食品廃棄物で発電→使用 川崎キングスカイフロント東急REIホテル

2020年9月12日 06時45分

ホテルの食品廃棄物を燃料にして発電された電力を使っている川崎キングスカイフロント東急REIホテル=川崎区で

 ホテルの食品廃棄物で発電し、その電力をホテルで使う。そんな循環の仕組みが、川崎臨海部の「川崎キングスカイフロント東急REIホテル」(川崎市川崎区殿町)で始まった。今後は客室の歯ブラシなどをリサイクルし、電気や給湯のエネルギーにする計画も。「ここでしかできない」と担当者が語る地の利とは−。 (石川修巳)

■立地は「最先端」

 川崎駅からバスで約二十分。東急REIホテルは京浜工業地帯の一角、多摩川対岸に羽田空港を望む場所に二〇一八年開業した。客室数は百八十六。市が「川崎の南端は世界の最先端」とアピールする研究開発の国際戦略拠点キングスカイフロントに立地している。
 このホテルには「世界初」の特徴がある。家庭から分別収集された使用済みプラスチックを分解して水素を取り出し、燃料電池で電気や熱に変換する「水素ホテル」なのだ。
 水素は臨海部にある化学メーカー、昭和電工川崎事業所(川崎区)が製造し、長さ約五キロのパイプラインでホテルへ。ホテル内の電気、給湯の約三割を賄っているという。
 こうした水素の「地産地消」は国の実証事業の一環。前総支配人の荒木茂穂さん(52)は言う。「実証事業は残り二年。ホテルが主体性を持って、環境のために何ができるのか。着目したのが食品廃棄物でした」

■再生エネ100%

 同ホテルによると、レストランやカフェなどの食品廃棄物は一日に三十〜五十キロ。一カ月では約千キロになる。昨年八月から、Jバイオフードリサイクル(横浜市鶴見区)の発電施設に運んで、微生物の働きでガスを発生させる原料にしている。
 今年四月には、Jバイオの電力を調達している新電力のアーバンエナジー(鶴見区)と契約。ホテルの食品廃棄物を燃料にして発電し、その電力を発生元のホテルで使う仕組みは国内で初めてという。
 同時に、再生可能エネルギーだけの電気を使うアーバン社のプランも活用。荒木さんは「これでホテルの電力は再生エネ100%。年百七十万円のコスト削減にもつながった」と語る。
 歯ブラシ、くしといったプラスチック製のアメニティーグッズも、水素の原料にする計画だ。昨年五月まで一年間試行し、本格実施に向けて調整している。
 「ホテルが京浜工業地帯にあるのが大きい。この立地を生かして、役割を全うしたい」と荒木さん。視察に訪れる関係者も多いという。かつて深刻な大気汚染などの公害を招いた川崎の南端は、今や環境技術やノウハウの「ショーケース」にもなっている。

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