<コロナと生きる@いばらき>ロボットが介護手助け 日立で実証実験、スタッフの負担軽減へ
2020年9月12日 07時20分
ロボット事業を手掛ける日立市の会社「ユニキャスト」が、体の不自由な高齢者らを介護支援するロボットの実用化に向けた実証実験に取り組んでいる。施設の現場で働く介護士の負担軽減が目的。加えて、新型コロナウイルスで入所者と家族の面会が難しい現状から、ロボットにテレビ電話の機能を付け「橋渡し」の役割を持たせることも期待している。 (水谷エリナ)
ロボット(高さ約一メートル)からラジオ体操の音楽が流され、搭載のモニターに運動しているインストラクターの映像が映し出される。それに合わせ、車椅子の高齢者ら二十人が、ゆっくりと体を動かしていく。
日立市鹿島町の介護サービス事業所の「紫陽花(あじさい)ケアサポート日立」で十一日に公開された実証実験だ。事業所の小室尚平統括部長(43)は「職員が、入所者の前でレクリエーションを十五分くらいやる作業をロボットに代行してもらえれば、違う作業に費やせるので助かる」と話した。
ユニキャストは、これまで企業の受付や飲食店の接客を目的としたロボットを手掛けてきた。それを応用し、人手不足に陥りがちな介護の現場をロボットの力でサポートするのを目的に、介護支援ロボットの開発も進めており、来年二月末までの商品化を目指している。
ロボットは米国のベンチャー企業が製造し、名前は「テミ」で人工知能(AI)が搭載されている。ユニキャストが購入し、介護の現場で使えるようにプログラミングしている。
ユニキャストは県と市の補助金を活用して市内三カ所の介護サービス事業所に「テミ」を配備し、実証実験に着手している。
今後、スタッフからの要望を踏まえ、十一月中旬以降に夜間に施設内を巡回して異常があれば職員に知らせるなどの機能を拡充させていく。
さらに、市地域創生推進課の担当者は「新型コロナウイルスの影響で、入所者が家族と面会できていない状況にあるので、テミを活用した遠隔コミュニケーションも実施していく」と説明。テミのモニターをテレビ電話にして、入所者と家族が会話できるようにしていく予定だ。
他にも、事業所側はテミが利用者を個別認識して職員の代わりに話し相手になったり、ラジオ体操以外にも、入所者を楽しませる機能を充実させたりすることも期待する。
ユニキャストの三ツ堀裕太社長(38)は「ニーズに合ったものにするため、現場で活躍する方の意見を尊重して、少しでも役に立つロボットに仕上げたい」と意欲を語った。
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