ナラ枯れの被害急増 4〜8月、過去最多で850本以上

2020年9月12日 07時21分

広がるナラ枯れ被害。赤茶の部分が枯死した樹木=みなかみ町で(群馬県提供)

 ミズナラなどナラ類の広葉樹が集団で枯死する「ナラ枯れ」が県内で急増している。県によると、一時は沈静化したが、近年再び増加。本年度は八月末時点の概算で前年度の約三倍の八百五十本以上となり、過去最多の情勢だ。被害は県北部のみなかみ町に集中するが、範囲は拡大。倒木などによる二次被害や景勝地での景観悪化などが懸念され、県など関係者は警戒を強めている。 (石井宏昌)
 ナラ枯れは本州の日本海側を中心に広がり、県内では二〇一〇年、みなかみ町で初めて確認された。新潟県境に近いJR土合駅や谷川岳一ノ倉沢付近などで六十八本の被害が判明した。
 一一年度も六十九本あったが、その後は減少し、一四年度は被害ゼロ。以降も十本以下で推移した。だが一七年度に百六十本、一八年度は三百四十五本と急増。一九年度も二百七十五本が確認された。
 ナラ枯れは体長四、五ミリの昆虫「カシノナガキクイムシ」(カシナガ)が媒介するカビの一種「ナラ菌」によって起こる病気。カシナガによって、ミズナラ、コナラなど落葉広葉樹の幹の中に持ち込まれると、幹の水の通りを悪くさせ、葉が茶色に変色して枯死してしまう。六〜八月に多い。
 景観を損なうだけでなく、倒木で家屋や送電線、道路などへの二次被害を引き起こす危険性がある。シイタケ原木などへの利用にも影響が懸念される。
 ミズナラやコナラが多い同町では当初、被害は北部で確認されていたが、徐々に南下。県によると、水上温泉街に近い観光名所の渓谷「諏訪峡」周辺にも広がっている。
 県などは被害木を切り倒して薫蒸したり、急斜面など伐倒が困難な場所では立ち木のまま薬剤を注入したりして処理。カシナガの侵入を防ぐシートで幹を覆う処置や防虫剤の塗布なども行っている。
 だが被害が拡大し、コストや人的にも即応が難しくなってきたため、一九年度から「おとり丸太法」に取り組む。伐採したナラ類の丸太を山積みし、フェロモン剤を置いてカシナガをおびき寄せ、カシナガが大量に入り込んだ丸太を焼却処分する。
 被害の急増について県林政課では「暖冬でカシナガの幼虫が樹木の中で越冬しやすくなり、繁殖したのではないか」と分析。「被害が拡大すれば、土砂災害防止や水源かん養など森林の機能を損なう恐れもある。カシナガの生息密度を下げる対策を講じていきたい」としている。

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