自民党総裁選 討論会詳報

2020年9月12日 22時17分

自民党総裁選の公開討論会を前にポーズをとる(左から)石破茂元幹事長、菅義偉官房長官、岸田文雄政調会長

 自民党総裁選に立候補した石破茂元幹事長、菅義偉官房長官、岸田文雄政調会長が出席した日本記者クラブ主催討論会の詳報は次の通り。

◆目指す国家像

 石破氏 一人一人に居場所がある強い社会をつくる。新型コロナウイルス感染症は、いろいろなことを気付かせてくれた。地方でも十分に教育が受けられ、雇用と所得があるのが新しい社会だ。
 菅氏 デジタル化や少子高齢化対策といった直面する課題の解決に取り組む。目指す社会像は、自助、共助、公助、そして絆だ。縦割り行政を打破し、国民に信頼される社会をつくる。
 岸田氏 利益を追求する新自由主義はさまざまな批判を浴びてきた。公益にも資する持続可能な資本主義を考えなければならない。格差、分断の問題に向き合う。国民にしっかりした一体感がある経済、社会をつくる。

◆新型コロナ特措法

 石破氏 改正しなければならない点はたくさんある。改正は感染が収束してからとの考え方には全く立っていない。
 岸田氏 議論を進め、準備ができれば国会で審議することを当然、考えなければならない。国と地方の権限の在り方の議論を深めるのが大事だ。
 菅氏 まず今のままでコロナ対策をする。当然必要があれば、特措法見直しはしなければならない。ただ人権問題などが絡み(法律の)付帯決議で(私権制限は)慎重に行うよう言われている。

◆経済対策

 質問者 新型コロナはまだ予断を許さない状況だ。追加の経済対策は。
 石破氏 持続化給付金は、手続きが非常に面倒だった。本当に困っている人にお金が行くのは、どういうことか。迅速、的確にする必要がある。経済活動を抑えるのに強制力を伴うなら経済支援が必要だ。行政手続きをデジタル化し、給付と納税の一体化を進めるべきだ。
 菅氏 新型コロナ対応は給付金や融資でつなぐ。(現行の給付や融資で)収まらないなら、徹底して次の手を打っていく。(追加の給付金は)必要であれば、しっかり対応したい。 
 岸田氏 経済を動かすためのPCR検査の充実がポイントだ。中小、零細企業に費用を支援するのも大事だ。さらなる財政措置も考えなければいけない。

◆消費税

 質問者 菅氏は将来的な消費税増税の可能性に言及している。
 菅氏 誤解がある。将来までは否定すべきではないと思っている。安倍晋三首相は「10 年は引き上げない」と言った。私も全く同じ意見だ。(十日の発言は)将来まで否定すべきでないと考えた。10年は考えない。私はアベノミクスに取り組んできた張本人だ。経済再生なくして財政健全化はない。
 岸田氏 社会保障制度改革を進めた上で必要なら考える。昨年消費税を上げたばかりだ。新型コロナとの闘いもあり、しばらく触るのは難しい。

◆金融政策

 質問者 安倍政権下、日銀は大規模な金融緩和を進めた。
 石破氏 金融政策は社会をどう変えるかの手段だ。全て再点検する。急に変えることはしない。
 菅氏 (石破氏と)一緒だ。
 岸田氏 いっぺんに変えるのは難しい。「出口」との言葉を使って良いか分からないが、その先を考えるのは大事だ。

◆アベノミクス

 岸田氏 高く評価しているが、まだやり残したことがある。成長の果実が中間層や中小企業、地方に広がらないうちに新型コロナの影響を受け、格差が深刻化した。
 菅氏 アベノミクスの中で400万人、新規の雇用者数が増えたのは事実だ。生活保護の受給者数は、間違いなく減少した。子ども、若者の教育無償化を実行に移した。

◆加計学園問題

 質問者 既に終わった問題と考えているのか。
 菅氏 法令にのっとって、オープンなプロセスで、検討が進められたと明らかになっている。

◆森友学園問題

 質問者 改ざんを強いられて自殺した職員の妻が再調査を求めているが、政府は拒否している。
 菅氏 財務省で調査し検察も捜査した。結果は出ている。再発防止するのが私どもの役割だ。
 石破氏 必要なら再調査すべきだ。国民の納得が過半数にならなければいけない。

◆桜を見る会

 質問者 政府の説明責任が果たされていないとの指摘が多い。
 菅氏 国会でたびたび答弁した。野党は「(関連資料を)すぐ廃棄した」と言うが事実と違う。
 石破氏 毎年同じ人が呼ばれたら、おかしい。何のためにやるかとの原点に立ち返るべきだ。
 岸田氏 説明が十分かどうかは説明を受ける側が納得したかどうかだ。

◆外交

 菅氏 日米同盟を基軸として、アジアの国々としっかりと付き合うことが大事だ。
 岸田氏 基本的な価値観を共有する国々と協力しながら、地球規模の課題で日本が存在感を示すことが大事だ。
 石破氏 米国と中国がこれ以上対立しないために、日本は何ができるか。米国とは、地位協定改定も視野に入れ、対等に日米同盟をつくる。

◆日中関係

 質問者 日中関係をどう進めるか。習近平国家主席の国賓来日は。
 岸田氏 隣国で経済の深い関係もある。東シナ海、南シナ海での一方的な現状変更や香港での動きは指摘するが、対話の窓は決して途絶えさせてはならない。習氏訪日は冷静に考える課題だ。
 石破氏 尖閣諸島は日本の固有の領土だ。中国が一国二制度を否定した香港の問題は大変なことだ。あってはならないと、きちんと言っていかなければならない。
 菅氏 主張すべき点を主張し、一つ一つ課題を解決する。習氏来日については新型コロナウイルス感染への対応(が優先)だ。具体的な日程調整を行う段階ではない。

◆日本人拉致問題

 菅氏 被害者の家族に申し訳ない。少しでも可能性があれば何でも対応しようと取り組んだ。
 岸田氏 トップ会談も辞さずとの構えで、物事が動くチャンスを捉える。時間との闘いだ。反射神経が求められる。
 石破氏 東京と平壌に連絡事務所をつくるべきだ。表舞台で論じることが大事だ。

◆安倍外交の継続

 質問者 自身が進める外交のイメージは。
 菅氏 重要な政策決定には全て絡んできた。継続が大事だ。安倍首相の首脳外交は本当に素晴らしい。私には私なりの外交姿勢がある。自分型の外交姿勢を貫く。
 質問者 安倍首相に協力をお願いするか。
 菅氏 首相は大きな成果を上げた。当然相談しながら行う。

◆米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設

 質問者 移設推進にこだわるのか。
 菅氏 普天間飛行場は世界で一番危ないと言われる。配慮して進めるべきだ。
 石破氏 普天間の危険性除去のためには、それしかなかった。負担軽減が主眼だ。
 岸田氏 代替案があるなら考える必要もあるが、現状では代替案は思い当たらない。

◆衆院解散・総選挙

 質問者 年内の衆院解散・総選挙の可能性は。
 石破氏 国民の多くが「任期いっぱいはきちんと仕事せよ」と言っている。政権のために解散があるとは思わない。国民のために解散というものはあるべきだ。
 菅氏 国民は今、何を望んでいるか。新型コロナ対策と、経済再生をしてほしいとの思いが非常に強いと思う。ただ解散権は新首相が持っているから、新首相の判断だ。

◆人事

 質問者 二階俊博幹事長は留任か。
 菅氏 首相に選ばれた後の判断だ。
 質問者 官房長官人事はどうするか。
 菅氏 私自身、官房長官を務めた。全体を見なければならない。国会運営や党との問題があり、記者会見も1日2回ある。総合的な仕事ができる人が良い。

◆東京一極集中

 質問者 東京一極集中は是正できていない。
 石破氏 根本的に改めるには「地方任せ」が必要だ。その代わり、責任も地方で持つ。
 菅氏 大事なのは企業が地方に転出することだ。テレワークを推進し、地方に多くの人が移転できるよう応援する。
 岸田氏 変化させるキーは、デジタルの最新技術ではないか。第五世代(5G)の移動通信システムの最新技術を地方にこそ真っ先に実装する。

◆震災と原発事故からの復興

 質問者 東日本大震災から来年で十年だ。原発事故によって福島に戻れない人がたくさんいる。
 菅氏 帰りたい人は帰れるようにしたい。
 石破氏 放射性物質や風評被害をどうするかは、政府が責任を持って決めなければならない。
 岸田氏 被災者の心の痛み、人材育成に取り組む。地元に戻りたい方々の思いを実現する。

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