<笑顔は“伝”わる 東京新聞 えがおプロジェクト>慶応大グループ研究 オンラインでも幸福感「見える化」

2020年9月13日 06時29分

オンライン会議前に、参加者に笑ってもらう。その「笑顔度」が高いほど、顔の周囲に花が咲く(大越特任准教授提供)

 会えてうれしい。にこっとする。相手も、つられてほほ笑む。新型コロナウイルス感染拡大で、人と会うことが少なくなり、そんなふうに笑う機会が減っていませんか。笑顔はお互いの幸福感を高めると言われます。「オンラインでも笑顔は伝わる」。そんな研究をしているグループがあると聞き、慶応大湘南藤沢キャンパス(神奈川県藤沢市)を訪ねました。
 「笑顔になる機会をテクノロジー(技術)を生かしてどうつくるか、研究しています」。慶応大大学院政策・メディア研究科の大越匡特任准教授(44)が話す。大越さんも所属する「健康情報コンソーシアム『Team SMILE』」は笑顔と情報の力で健康になる社会を目指している。
 例えば、コロナ禍で増えた、ビデオ会議システム「Zoom」を使った打ち合わせや会議。本題に入る前に参加者に笑顔をつくってもらうよう呼び掛け、スマイルメーターと呼ばれる特殊なシステムで「笑顔度」を測る。笑顔の程度によって、画面上の一人一人の顔の周りに花が咲く。「意識的に笑顔になる機会を提供することで、参加者を和ませ、プラスの効果を生む」
 きっかけは、同研究科後期博士課程3年の佐々木航さん(27)が、2015年ごろに学部の卒論で取り組んだ研究。感情は人から人へ伝播(でんぱ)していく。人は幸せだから笑みがこぼれるだけでなく、笑顔になることで幸福を感じるという。この「情動伝染」と呼ばれる現象が会員制交流サイト(SNS)などオンライン上でも起きるのかを調べた。
 佐々木さんはアイドルグループ「乃木坂46」のファン。「直接会ったことのないファン仲間の友達の内面を知りたい。ライブに行った前後でどう感情が動いたかなどに興味があり、笑顔に着目した」と振り返る。
 「SmileWave(スマイルウエーブ)」と名付けた独自のSNSを開発。自ら撮影した笑顔の「自撮り写真」を友人間で見せ合うことができるアプリで、他人の笑顔を見た時の自分の表情もスマホの内蔵カメラで記録した。約50人に数週間アプリを使ってもらい、自撮りとそれを見た表情を写した約1万枚の写真を分析。その結果、SNSでも人の笑顔を見ると笑顔になり、幸福感情が広がることが分かった。
 このアプリは藤沢市のひとり暮らしの高齢者にも約1年間使ってもらい、毎日、笑顔を町内会の知り合い同士で見せ合ってもらった。高齢者見守りのための実証実験で、外に出る機会が少ないお年寄りが「今日も元気そうね」と互いの安否を確認でき、好評だったという。
 こうした技術を使えば、将来的には、公園を新たに造った時にその前後で周辺住民の笑顔度がどう変わったかを測り、行政の施策がどれだけ人を幸せにしたかを判断することもできるという。お笑いイベントで、観客の笑顔から満足度を測る構想もあるそうだ。
 「笑顔にはいろいろな可能性がある」と大越さん。国連の持続可能な開発目標(SDGs)が17の目標を掲げていることに触れ、「SDGsの17の目標の次、18番目は『笑顔』だと思っています」とほほ笑んだ。

笑顔の可能性を研究している慶応大の大越匡特任准教授(左)と佐々木航さん=神奈川県藤沢市で

 文・奥野斐/写真・川上智世
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ふきだしコンテスト 応募サイト
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<応募期間>
2020年9月16日(水)~11月5日(木)
<賞および商品>
・吉田戦車賞:吉田戦車先生サイン入り 受賞イラスト 5名様
・東京新聞賞:クオカード10,000円分 + 思い出新聞 3名様
・優 秀 賞:吉田戦車先生サイン入り 『まんが親』全5巻セット 5名様
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