大坂なおみ「あなたが受け取ったメッセージは?」 全米V、7枚のマスクで反差別訴え

2020年9月14日 13時58分

テニスの全米オープンで、人種差別に抗議して黒人被害者名が入ったマスクを着用した大坂なおみ=ニューヨーク(AP、USAトゥデー・ロイター、ゲッティ=共同)

 優勝を決めた直後、コートの上であおむけになり、じっと天を見つめた。その姿には、激闘を制した充実感とともに、大会を通じて人種差別と闘い続けた誇りが漂っていた。
 大坂なおみの今大会は、ある名前が記された黒いマスクとともに始まった。「ブレオナ・テイラー」。3月、自宅で就寝中に押し入った警官に射殺された黒人女性だ。「ただ、(人種問題に)気付いてもらおう、関心をもってもらうと思った」。決勝までの試合数と同じ7枚のマスクを用意したことを明言。故障明けの体に自ら重圧をかけた。
 勝ち進むたび、白人警官や自警団の理不尽な暴力で命を落とした黒人の名前が1人ずつマスクに。決勝では、おもちゃの銃を持っていただけで射殺された12歳の少年タミル・ライス君の名が記された。
 日本人の母、中米ハイチ出身の父を持ち、3歳で米国に渡った多様なルーツと半生。各試合後、「マスクが7枚では足りないのが悲しい」「変わらないといけない」と訴える姿は共感を呼んだ。犠牲者の遺族の感謝が伝えられ、大坂自身も感極まる場面もあった。
 人種差別問題を巡っては全米各地でデモが続き、11月の大統領選の争点ともなっている。ネット上では「スポーツに政治問題を持ち込むな」といった声もあったが、「選手である前に、1人の黒人女性だ」との思いは揺るがなかった。大会直前には、米誌タイムに「選手は(社会的な)発言をしてスポンサーを失うことを恐れている。しかし、何が正しく、何が重要なことなのか話さなければならない時がくる」と発言。自らデモに参加したことも明かしていた。
 優勝後に天を見上げ、再びコートに立ち上がった大坂。続くインタビューでマスクに込めた思いを聞かれると、曇りのない表情で返した。「さて、あなたが受け取ったメッセージは何でしたか?」。(ニューヨーク・杉藤貴浩)

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