菅義偉新総裁 「時間は有効に」と昼食は5分、秘書9人を使い分けてフル回転

2020年9月14日 15時35分
 「時間を有効活用したい」と昼飯は5分で切り上げ、秘書9人を使い分けてフル回転―。14日に自民党総裁に選ばれ、次期首相となることが確実になった菅義偉(よしひで)官房長官(71)。元秘書が、議員秘書からたたき上げで首相に上りつめる菅氏の政治活動と人心掌握術をこう語った。(志村彰太)

自民党の新総裁に選ばれ、両手を挙げて拍手に応える菅義偉官房長官(中央)=東京都内のホテルで

◆早朝から未明まで

 「菅さんはだれよりも動き、自分に厳しい。秘書の仕事は、激務だった」。菅氏の私設秘書を2005年から6年間務めた遊佐(ゆさ)大輔・横浜市議(39)はこう振り返る。
 菅氏は、自民党の小此木彦三郎衆院議員の秘書を11年、横浜市議を2期務めた後、1996年の衆院選で神奈川2区(横浜市西、南、港南区)から出馬。以来、連続8回の当選をしている。その選挙の強さを支えるのが、活動量だと言う。
 遊佐氏は、秘書時代は毎日、午前4時半ごろに起きて菅氏を迎えに行き、駅頭で演説するのを見守った。夜も菅氏の街頭活動や会合に付き添うため、遊佐氏が自宅に戻って眠るのは送迎後の午前1時ごろだった。

◆叱ったり褒めたり

菅総裁の人柄について語る遊佐大輔横浜市議=横浜市南区で

 菅氏の昼飯にかける時間はわずか5分。秘書は菅氏より早く済ますため「3分で食べるコツを覚えた」。そば屋では温かいそばだと急いで食べられず、「かけそばやざるそばなど、冷たいものしか頼んだことがない」。菅氏は車での移動中も休むことなく、頻繁に電話をかけている。
 書類の管理や事務仕事でミスがあると「厳しく叱責しっせきされることもあった」という遊佐氏。だが「菅さんは、秘書全員に同じ対応を取っていたわけではない」と言う。菅事務所の秘書は私設、公設合わせて9人。厳しくすると落ち込みそうな秘書には「褒めて伸ばしていた。人の性格を見て対応を変えていた」。

◆「すぐに来い」

 厳しくされつつも、遊佐氏が菅氏の秘書を続けたのは「その分、重要な仕事を任されている」という実感と、菅氏の人柄に引かれたからだという。遊佐氏は家業が傾いた関係で大学を中退している。秘書になる際、「高卒だけど大丈夫でしょうか」と質問すると、菅氏からは「過去の学歴は関係ない。あるのは、今と未来。これからが勝負だ」と激励を受けた。
 にくめない一面も感じている。菅氏は甘い物好きで、地元で買った甘納豆をよく食べる。15年ごろには、土曜日の午前5時半ごろに菅氏から電話が来た。「すぐに来い」。緊急事態かと思い、急いで都内に向かったが、「一緒にパンケーキを食べただけだった」と苦笑いする。「どうしてもパンケーキが食べたかったのかな」

◆既得権の打破を

 安倍晋三首相が辞意発表するまで「首相になる気はない」と言い続けてきた菅氏。これまでは官房長官として首相を支えてきたが、今後は自らリーダーとしてかじ取りする立場になる。
 遊佐氏は「元秘書としておめでとうとは、言わない。日本には課題が山積している」とした上で「国民目線で、不合理な既得権を打破してほしい。地方議員から上りつめた人として、地方分権を進め、頑張る地方を応援する仕組みをつくってほしい」と期待する。

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