改憲に「挑戦したい」 衆院解散は「コロナが下火に…」 菅新総裁の会見詳報

2020年9月14日 21時26分
 自民党の菅義偉・新総裁が14日夕に記者会見を行った。菅氏は衆院解散の時期について「新型コロナの専門家の見方が『完全に下火になってきた』ということでなければ、なかなか(収束したとの判断は)難しいのではないか」と述べた。改憲については「総裁として挑戦していきたい」と意欲を見せた。要旨は次の通り。

◆安定した生活を

記者会見する自民党の菅新総裁=東京・永田町の党本部

 【冒頭発言】
 先ほど自民党総裁に就任した。私は高校まで秋田で育った農家の長男坊だ。地縁、血縁のない私が政治の世界に飛び込み、ゼロからのスタートだったが、歴史と伝統のある自民党の総裁に就任する。そうしたことは民主国家、日本の一つの象徴であると思っている。
 横浜市議会議員を2期8年経験している。現場に耳を傾けながら、何がおかしいのか一つ一つ見極めて仕事を積み重ねてきた。自民党総裁に就任した今、おかしな部分があれば徹底して見直し、この日本を前に進めていきたい。
 役所の縦割り、既得権益、先例主義。こうしたものを打倒した規制改革をしっかりと進めていきたい。そして国民のために働く内閣というものをつくっていきたい。
 私は官房長官として7年8カ月、安倍晋三首相のもとで日本経済の再生、そして外交安全保障の再構築、さらには全世代型社会保障制度の実現など重要課題に取り組んできた。
 そして、新型コロナウイルスの問題で安倍首相が陣頭指揮を執っていたが、病気のため道半ばで退くことになった。そのとき私自身、悩んだ。新型コロナ感染が拡大する中、政治空白はつくってはならない。そして国民一人一人が安心して安定した生活を取り戻す。
 この危機を乗り越えていくためには、安倍首相のもとで取りまとめてきたコロナ対策を実行に移さなければならない。熟慮に熟慮を重ねて出馬に踏み切ったわけだが、今日、総裁選挙で就任することができた。皆さんにご理解をいただく中で、日本を前に進めていきたい。
 【質疑応答】
 記者(幹事社・日本経済新聞)圧倒的な票差での勝利だったが、勝因をどう考えるか。派閥主導の密室政治という批判もあったが、今後の政権運営で派閥の意向に政策が左右されることはないか。(総裁選の)討論では森友・加計問題、桜を見る会などの安倍政権の「負の遺産」に関して追加的な対応を否定してきた。

◆派閥の弊害「私はない」

 菅氏 圧倒的大多数の支持のもとに就任させていただいたと思っている。私を支持していただいた大きな理由として、私自身が地方出身で地方の現場をよく知っている。ふるさと納税を総務相のときにつくったことや、地方の発展のために地方の特産品を免税品にした。農業に力を入れ、(旧民主党から)政権交代して、農林水産品も海外に出始めた。市議を2期8年、横浜で経験した。地方議員が一生懸命応援してくれたと思っている。

自民党総裁選を終え、手を取り合う(左から)岸田政調会長、安倍首相、菅新総裁、石破元幹事長=東京都内のホテルで

 政治空白はつくってはならない。コロナ対策をちゃんとやってほしい。そして経済もしっかり再生してほしい。この両立というものを多くの皆さんが望み始めてきたのではないかと思っている。そうしたことが相まって私の大きな勝利につながったのではないか。こうしたことをしっかりやり遂げたい。
 派閥についてだが、私は派閥に入っていない。私自身、総裁選に出馬する決心をしたのが一番遅かったと思う。コロナ対策、「Go Toキャンペーン」を主導していた。経済対策を実行に移す人間だった。悩みに悩んだが、これは私がやらなきゃならないと判断した。
 この極めて困難な状況に、国会議員の皆さんに「官房長官として7年8カ月仕事をしてきているので、菅が一番適任じゃないのか」という声が広がってきたのではないか。縦割り、既得権益、あしき前例主義、こうしたものを打ち破っていくのが私の仕事だと思っている。派閥の弊害ということは私は全くない。政策を説明し、大きな数をいただいたので安定して自分の目指す政治を行っていける環境は整ってきたのではないか。
 森友・加計問題、桜を見る会だが、安倍政権においてはさまざまな指摘を受けている。客観的におかしいと思ったことについては、正していかなければならないと思う。国民の皆さんに何事も丁寧に説明をすることも大事だと思う。

◆官房長官は「総合的な力がある人」

 記者(幹事社・TBS) 党役員・閣僚人事の方針は。後任の官房長官は何を重視するか。内閣を大幅に改造したり、民間人を登用したりする考えは。
 菅氏 規制改革を徹底してやりたいと思っているので、改革意欲のある人や改革に理解を示してくれる人を中心に人事を進めたい。
 改革意欲のある人はいろんな派閥に散らばっているので、そうした観点から登用していきたい。二階俊博幹事長、麻生太郎副総理兼財務相は党と内閣の要だが、続投するかどうかは決めていない。官房長官は首相との組み合わせ(が重要)だ。総合的な力がある人が一番落ち着くのではないか。
 森山裕国対委員長の能力も高く評価している。安倍政権を継承する方針から、居抜き内閣や小幅改造という(見方があるという)ことだが、首相が代わるわけだから、思い切って私の政策、方向に合う人を登用して仕事をしていかないと、国民に申し訳ない。民間人の登用はまだ決めていない。

◆衆院解散「全体を見て判断」

 記者(幹事社・毎日新聞) どのような条件が整えば衆院解散に踏み切るのか。何をもって新型コロナ感染症の収束を判断し、収束と判断した場合は即座に解散するか。省庁改革を争点として信を問う考えはあるか。
 菅氏 新型コロナの専門家の見方が「完全に下火になってきた」ということでなければ、なかなか難しいのではないか。せっかく首相、自民党総裁に就任するのだから、仕事をしたいと思っている。(衆院議員の任期満了まで)1年しかないので、衆院解散の時期は悩ましい。新型コロナが収束したらすぐ解散するということでもない。全体を見ながら判断したい
 コロナ禍の中で浮き彫りになったのは、日本のデジタル関係が機能しなかったということだ。(改革の)象徴として思い切ってデジタル庁を作る。法改正を早速やっていきたい。本年度の第2次補正(予算)で、光ファイバー(整備事業)に500億円の予算をつけた。総務省が当初、300億円を要求したが、それより200億円多く(の予算を)つけた。意気込みを理解いただけるのではないか。

自民党総裁のいすに座る菅新総裁=東京・永田町の党本部

 選挙で省庁再編(を争点にする)というのは考えてもいないが、省庁の中にも改革に前向きにならないと立ちゆかなくなるという考えが大きくなっていると思う。

◆憲法「現実にそぐわないことがある」

 記者(北海道新聞) 北方領土問題で、ロシア側に4島返還を求めていく考えはあるか。先日、安倍首相にも相談しながら外交を進めると言ったが、今後どのように北方領土返還を実現するのか。
 菅氏 北方領土については、4島の帰属を明確にした上で交渉していく。安倍首相とロシアのプーチン大統領は信頼感があるし、森喜朗元首相とプーチン氏も信頼感がある。安倍外交も森氏から助言を受けて進めてきている。外交は総合力であり、あらゆるものを駆使する中で進めていく。
 記者(産経新聞) 憲法改正に具体的にどう取り組んでいくのか。意欲や必要性については。
 菅氏 自民党は憲法改正を党是として、立党された政党だ。(憲法施行から)70年以上がたち、現実とそぐわないことがたくさんある。国会(憲法審査会)の中で、それぞれの政党の立場を明確にして、審査会を動かしていくことが大事だ。そこで議論して、国民の雰囲気を高めていくことも大事だ。総裁として憲法改正に挑戦していきたい
 【記者会見の流れ】
 菅氏の冒頭発言後、記者クラブの幹事3社(各社の持ち回り制)が順に代表質問した。その後、司会の谷公一衆院議員(自民党報道局長)が、挙手した記者の中から指名。本紙記者は指名されなかった。幹事社を含め5人が質問し、30分で終了した。

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