台風15号で壊れた屋根を守ったブルーシートがトートバッグに再生 千葉で地元還元プロジェクト

2020年9月15日 13時50分

屋根にブルーシートが掛けられた建物が目立つ住宅街=昨年9月、千葉県鋸南町で、本社ヘリ「あさづる」から(隈崎稔樹撮影)

 昨年9月の台風15号に襲われた千葉県の被災地では、1年が過ぎた今も、壊れた屋根にブルーシートが掛けられたままの民家が残る。一方、役目を終えたブルーシートはその後どうなったのか。追跡すると、捨てられる予定のシートを回収し、トートバッグに再利用するプロジェクトが進んでいた。(加藤健太)
 バッグの表面には細かい傷が残り、雨風をしのぐために使われたことを物語る。変色の具合もさまざまで、表情は一つずつ違う。買い物用のマイバッグとしてはもちろん、丈夫で水に強いため、「釣りやアウトドアにもぴったり」と好評だ。

ブルーシートを再利用したトートバッグを手にする千葉テレビの福島浩之さん=千葉市中央区で(潟沼義樹撮影)

 地元の千葉テレビが「被災地のために何かできないか」とプロジェクトを始め、手を携えるとの思いを込めて「ブリッジ千葉」と名付けた。ブルーシートをトートバッグに再生する取り組みは2016年の熊本地震後に広まっており、熊本の発案者に教わりながら、千葉でも展開した。
 家屋の被害が大きかった県南部の鋸南町などから捨てられる予定だったシートを回収して、社員らで手分けして洗浄。その後の縫製から販売までは県内の企業に協力を呼び掛け、製作費が被災地に還元される仕組みにした。
 3000個を作り、3月に発売後、2500個が売れた。定価3850円の3割を寄付金として被災地の復興に役立てる。プロジェクトを取りまとめる福島浩之さん(49)は「今もブルーシートで覆われたままになっている地域がある。バッグを使うことで、被災地に思いを寄せるきっかけにしてほしい」と語る。
 サイズは縦31センチ、横35センチ、マチ幅15センチ。残り500個をブリッジ千葉のオンラインショップなどで販売している。

ファッションブランド「ネクサスセブン」が手掛けるブルーシート製のトートバッグ=オンラインショップより

 ブリッジ千葉とは別に、県内発のファッションブランド「ネクサスセブン(NEXUS7.)」を展開する今野智弘さん(43)も、被災地から譲り受けたブルーシートでトートバッグを製作した。持ち手の色づかいや全体の形状にデザイナーとしてのこだわりがにじむ。渋谷パルコの直営店などで100個以上が売れた。売り上げの一部の160万円を被災地に贈る。
 同県八千代市出身の今野さんは、暴風雨で民家の骨組みがあらわになったり倒木が道をふさいだりした地元の光景に胸を痛め、支援を決めた。「ブルーシートがゴミになるくらいなら再利用して地元に還元しようと思った。県南部ではブルーシートで覆われたままの民家が多く残っている。活動を通じて引き続き応援したい」と話した。

 2019年の台風15号 同年9月9日明け方、千葉市に上陸。千葉県内各地で観測史上最大の風速を記録し、停電や倒木などの被害が目立った。気象庁は「令和元年房総半島台風」と命名。県によると、建物被害は約9万軒に上り、7月末時点で少なくとも8000軒の住宅で修理が終わっていない。

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