昨秋の台風19号で浸水被害 狛江市は責任認めず「退避後に逆流」 被災者反発「多くの魚目撃」

2020年9月16日 06時43分

狛江市が管理する六郷排水樋管の水門=同市の多摩川で

 狛江市が十五日に公表した昨年十月の台風19号に伴う浸水被害の原因の調査結果に対し、被災した住民の一部から疑問の声があがった。市が二つの水門を開けたまま職員らを退避させ、多摩川から排水路への逆流が発生する一因となったことに関し「やむを得なかった」と責任を認めなかったからだ。市は十八、十九の両日、住民説明会を開き、今回の浸水原因の調査結果や再発防止策を説明する。 (花井勝規)
 調査では、水門を開けたまま職員らを退避させた対応の是非が焦点だった。調査結果は、排水路への逆流が発生した時刻を午後九時半と断定した。職員の退避は午後七時半なので、逆流の発生を確認できなかったことになる。「撤退時は排水路の水は順流だった」とのこれまでの市の説明を正当化した形だ。
 だが、市民の一人は「本当に午後九時半なのか。午後六時台に浸水した場所で多くの魚が目撃されていたのに」と首をかしげる。これに対し、市の下水道課の担当職員は「魚の目撃情報イコール逆流とは考えていない。撤退を指示した午後七時半時点での順流がシミュレーション上ではっきりとした」と胸を張った。
 二つ目に注目されたのは、当日に二つの水門付近で発生した浸水状況やケースごとのシミュレーション結果だ。発生当日の浸水量の推計値は、猪方排水樋管(ひかん)周辺で約二万七千五百立方メートル(うち逆流分は一万三千八百立方メートル)、六郷排水樋管周辺は約二十六万五千立方メートル(うち逆流分は八万五千立方メートル)だった。
 これらの数値と比較する複数のシミュレーションの中に、仮に撤退時の午後七時半に水門を閉めた場合の推計値がある。それによると猪方周辺での浸水量は約二万七千立方メートルとほぼ変わらなかった一方、六郷は二十一万七千六百立方メートルと二割近く浸水量が少なかった。
 別の市民は「六郷のシミュレーション結果は、水門を閉めなかった狛江市の対応のまずさを示す証拠になるのでは」と指摘。近くで一階部分が水に漬かったマンションの男性(78)は「やはり水門を閉めてから撤退した方が被害が少なかったことが裏付けられた」と市に再発防止を求めた。

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