<ふくしまの10年・連載半年 読者から>(2)原発事故を忘れないで

2020年9月16日 08時02分

太陽光の売電収入を活用し菜の花などを栽培する=南相馬市小高区で(佐藤修一さん提供)

 福島第一原発事故で五年間住めなかった街、南相馬市小高区の旅館のおかみの奮闘をつづった「お先に花を咲かせましょう」(三月三十一日〜四月十一日)には、東京都板橋区の団体職員中井信也さん(59)から手紙をいただきました。
 連載では山肌が削られ、大規模な太陽光発電所が造られることへの複雑な思いも紹介しました。手紙には太陽光発電について<こんなストーリーがあることも知ってください>と、小高区金谷地区に地域の人たちがつくった合同会社「金谷村守りソーラー」のことが記されていました。
 二〇一六年に発電を開始。売電収入を活用し、菜種やコメなどを作って販売しています。<地区の住民(元住民)とその孫子が屋敷地を、墓を、田畑を、山をどうするか考える時間を稼ぐためにもなると、考えてのことでした>
 電話で話を聞きました。中井さんは大学院で農村社会学を学び、一七年夏まで農事組合浜通り農産物供給センター(相馬市)で働いていました。震災後は太陽光事業の普及にも取り組んだそうです。
 事故から十年近くたち「放射能のことだけが記憶され、あの事故がなぜ起きたかなど本質的なことが忘れられている」と中井さんは危惧しています。「避難区域解除や損害賠償打ち切りなど、そのたびに被災者は選択を強制されてきました。人びとを、時間を、村や町を切り裂く選択を強制する始まりとなった原発事故を忘れてほしくない」
 金谷村守りソーラーの社長、佐藤修一さん(53)=南相馬市=にも話を聞きました。戻ってくる住民が高齢者ばかりなのが気掛かりだといいます。
 「事業は続いても、ふるさとから人がいなくなっちゃう不安があります」 (早川由紀美)
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