菅新首相への各国反応 安倍路線継承に安堵と警戒感

2020年9月16日 20時14分

国会での首相指名を終えて、官邸に入る菅義偉首相

 【ワシントン=金杉貴雄、北京=坪井千隼、ソウル=相坂穣、モスクワ=小柳悠志】16日に組閣した菅義偉新首相を、日本と関係の深い各国の政権幹部や識者らはどう評価するのか。

◆米「日本にとって非常に良い選択」

 米国のスティルウェル国務次官補(東アジア・太平洋担当)は15日、菅氏には「一度会ったことがあるだけ」と直接の言及を避けつつ「日本にとって非常に良い選択だ」と述べた。
 安倍晋三前首相が特に安全保障面での関係強化に力を注いできたと高く評価している米国は、「安倍路線」を引き継ぐ菅首相が後継に就いたことに安堵感がある一方、知名度はほとんどなく手腕を注視している。
 菅氏は昨年5月に訪米しペンス副大統領らと会談したが、米政界とのつながりは薄い。米ブルッキングス研究所のミレヤ・ソリス上級研究員は「課題の一つは直接の外交経験に乏しいこと。国際問題に熱心だった安倍氏に対し、菅氏は国内改革を優先するのではないか」との見方を示した。

◆中国は外交政策注視

 米国との対立が激化する中で対日関係を重視している中国。習近平国家主席は祝電で「両国の友好は、両国の利益だけでなく世界の平和と発展につながる。積極的に新時代の中日関係をつくり上げていきたい」と新政権発足を歓迎。李克強首相も祝電を送った。国家主席と首相双方による祝電の送付は異例という。
 一方で共産党機関紙、人民日報系の環球時報(電子版)は16日の記事で、「中米関係の激しい変化の中、菅氏が対米関係と対中関係のバランスを安定させていくのは、容易ではないだろう」と述べ、菅政権の外交政策に注目する必要性を強調した。

◆韓国 安倍政権継承を警戒

 元徴用工問題などで日本との対立を抱える韓国政府は表向き、菅首相に期待感を示した一方、対韓輸出規制などで韓国世論の反発を買った安倍前政権の継承を掲げた新内閣の顔触れに警戒する報道も見られる。
 大統領府は16日、文在寅大統領が菅首相に就任祝いの書簡を送ったと発表し、「大統領は基本的価値や戦略的利益を共有するだけでなく地理的文化的に親しい友人である日本政府といつでも対話する準備ができている」とした。
 次期大統領の有力候補とされる与党「共に民主党」代表の李洛淵前首相は昨年10月に東京で官房長官だった菅氏に面会したことに触れ「日韓関係の改善に向け共に努力する方向で意見を共にした。適切な時期に会いたい」と呼び掛けた。

◆ロシア「建設的な話し合い進める」

 安倍前首相と関係が深かったロシアのプーチン大統領は16日、「安倍氏の努力もあって日本との対話は発展した。引き続き2国間や国際的な課題について建設的な話し合いを進めていきたい」と、菅氏に祝電を送った。
 北方領土問題を含む平和条約締結交渉が課題の両国だが、極東研究所日本研究センター長のキスタノフ氏は「両国の関係が急速に前進したり、悪化したりすることはない」とロシア通信の取材にコメントした。

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