菅政権に街の声は…「アベノコピー」「モリカケ桜は?」 障害者は「自助」に疑問

2020年9月17日 05時57分

首相官邸を去る安倍首相を拍手で見送る菅官房長官(中央)

 7年8カ月ぶりに誕生した新政権で、コロナ禍での暮らしはどうなるのか。自民党の菅義偉総裁が16日、首相に就任した。閣僚には安倍政権の常連が顔を並べ、女性も2人にとどまるなど「菅カラー」はまだ希薄だ。新型コロナウイルスで疲弊する国民からはさらなる対策を求める声が上がる一方、「自助」を強調する新首相の姿勢に不安も拭えない。

◆「早く解散して」…コロナ禍と生活苦に悲鳴も

 東京・銀座に買い物に来た江東区の八木須美子さん(84)は「モリカケ桜など安倍政権時代に未解決の問題がうやむやになっている。菅新政権がどう対処していくのか」と注視する。「『Go To』は早すぎたと思う。コロナが収束するまでは早期解散せず、コロナ対策に力を入れてほしい」と求めた。
 コロナ禍で出前弁当の販売にシフトした埼玉県所沢市の飲食業男性(57)は「ほそぼそと稼いでいるが、経営的には厳しい。カンフル剤の給付金を」と声を上げた。新政権には「代わり映えのしない顔触れが幅を利かせている。アベノコピー内閣ではないか」と首をひねり、「新しい政策は期待しにくい。私たちの声を国政に届けるため、早く衆院を解散してほしい」。
 新政権はアベノミクスも引き継ぐ。千葉県松戸市の自動車修理業高梨豊さん(47)は「町工場の社長として、まず景気の回復を」と中小・零細企業への手厚い経済政策に期待。「この7、8年で格差が広がった。大企業は潤っているが、われわれは景気の回復を実感できていない。さらにコロナ禍で5月と7月は仕事が激減した」と嘆く。
 菅氏の地元、横浜市南区の弘明寺商店街で喫茶店を経営する長谷川史浩さん(59)も「(大企業と)地元の商店街とは格差がある。好景気の実感は少ない」とこぼした。

◆「庶民を知っている」期待の声も

 「介護の現場は大変。コロナの感染も心配だし、待遇をもっと良くしてほしい」。長く介護の仕事に携わる神奈川県平塚市の豊福幸子さん(71)はそう訴える。菅首相には「信念が強そう。おぼっちゃんじゃないのがいい。庶民のことを分かってくれるんじゃないか」と期待感も。
 千葉市稲毛区の無職横沢佳恵子さん(54)は「高額な医療費を払う人にもっと補助を」と望む。複数の疾患を抱え、半年の診察代や薬代を合わせると35万円。病院に行くと、看護師の過重労働も目につく。「医療機関の待遇をもっと上げるべきだ」
 一方、東京都台東区の印刷会社社員、二瓶文昭さん(61)は「結局は安倍政権の継続。期待していない。とはいえ選挙をやっても野党があの通りでは自民一強になるだけ」と諦め顔だった。(牧田幸夫、米田怜央、鈴木みのり、吉岡潤、加藤木信夫、長竹祐子)
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◆「自助」に障害者ら疑問の声続々

 国民に「自助」を求める菅首相に、低所得者を支援する人らや障害者からは、疑問の声が上がる。
 「自分で努力した上で、支援を頼っている人が多いのが現状。それなのに『自助』を強調するのは『これから公的支援を利用しにくくする』と言うのと同じ」。生活困窮者を支える認定NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」(東京都新宿区)の大西連理事長(33)はそう批判する。
 コロナ禍で仕事を失ったり、収入減に直面したりした人も少なくない。大西さんは「今まさに公助の役割が問われている。安倍政権では1人10万円の特別定額給付金をはじめ、評価できる施策もあった。菅首相がその路線を引き継ぐなら、低所得者への家賃補助期間の延長など、生活に苦しむ人への支援を充実させるべきだ」と訴える。

「自助」に理解を示しながらも「経済的な公助は必要」と話す泉葉子さん

 横浜市鶴見区の会社員泉葉子さん(62)はポリオ(小児まひ)で足が不自由で、日常的に車いすを使う。積極的に情報を集めて複数の車いすスポーツを経験し、現在は健常者とともに踊るダンスグループに所属する。
 こうして活動的な泉さんは「甘えて何でもやってもらうのではなく、自分でできることをやるのはいい」と「自助」に理解を示しながらも、「障害があると、なんだかんだでお金がかかり大変」と話す。車いすの生活では自動車を持っていないと移動が不便。通院や車いすの買い替え費用などもあり、経済的な「公助」は必要だと感じる。
 「外に出て働ける人はいいが、障害の状況によっても違う」と泉さん。公的な社会福祉制度には分かりにくい点も多く「もっと周知に力を入れてくれれば、と思うこともある」と話した。(梅野光春、神谷円香)

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