安倍路線鮮明に 「合意なき実行」手法も継承か 菅新内閣

2020年9月17日 05時58分
 16日に発足した菅政権は「安倍路線の継承」を掲げ、安倍政権が進めてきた重要政策を基本的に変更しない姿勢を鮮明にした。国民の合意を十分に得ないまま、政策の実行に踏み切ることをいとわなかった安倍晋三前首相の政治手法を引き継ぐのかも焦点になる。(中根政人、柚木まり)

◆難題のコロナ対策

 菅義偉首相は16日夜の就任会見で、最優先課題に新型コロナウイルス対策と経済活動の両立を挙げ「国民のために働く内閣」を目指す考えを強調した。
 だが、安倍政権のコロナ対策は、給付金の支給方針や布マスク配布を巡り迷走。感染拡大が続く7月に始めた観光支援事業「Go To トラベル」は、官房長官だった菅首相が主導する形で直前に東京都発着の旅行を除外し、国民の混乱を招いた。
 政府は10月から、東京発着の旅行も「Go To」の対象にする方針だが、経済より感染対策の優先を求める国民は多く、声に耳を傾けながらの政策遂行と丁寧な説明が不可欠だ。
 重視する経済活動もコロナ禍で暗雲が立ちこめる。
 菅首相は、安倍氏の経済政策アベノミクスを「経済が格段に改善した」と称賛する。一方、2020年4~6月期の国内総生産(GDP、季節調整値)の改定値は、年率換算で戦後最悪の落ち込みを記録した。
 厚生労働省によると、コロナ関連の解雇や雇い止めは5万人を超える見込みで、さらに増える可能性が高い。菅首相は国民に自助を求めているが、弱者への目配りをおろそかにすれば格差が広がりかねない。

◆改憲、辺野古、原発は推進

 改憲や敵基地攻撃能力の保有についても、菅首相は安倍路線に沿った考えを表明している。
 菅首相は改憲に関し、与野党の枠を超えた建設的な議論を促すと強調。安倍氏は任期中の改憲を実現できなかった。菅首相は9条への自衛隊明記を含む自民党の改憲4項目をテコに前進させたい意向を示す。
 敵基地攻撃能力は、安倍氏が辞任直前の11日に保有を事実上促す談話を発表し、菅政権に議論を委ねた。慎重論が強い公明党との協議が焦点になるが、菅首相は専守防衛の範囲内で検討を進めるとしている。
 沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設は「唯一の解決策」との姿勢を堅持。工事海域には軟弱地盤があって設計変更には県の承認が再度必要となるが、工事を継続する姿勢に変化は見えない。
 原発に関しても、原子力規制委員会が新規制基準に適合すると判断すれば、再稼働させるとする基本政策を踏襲する方向だ。
 いずれも安倍政権下で賛否を二分したり、地元で反対の民意が示されたりしている。菅首相が議論や説明を省いて推進しようとすれば、世論の反発が強まる可能性は高い。

◆IRには黄信号

 実現に黄信号がともる政策もある。カジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備は、菅首相も「観光立国に不可欠だ」と前向き。地元の横浜市などが誘致に名乗りを上げる。
 だが、自民党所属だった衆院議員の汚職事件や、コロナ禍による米カジノ企業の大幅な業績悪化を背景に、地域の選定に向けた準備などの作業は停滞。国民の間には、ギャンブル依存症を助長するなどとしてカジノへの反対論も根強い。

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