菅首相「地銀多すぎる」発言で再編加速か 地域経済への悪影響懸念

2020年9月17日 05時57分

記者会見する菅義偉首相=首相官邸で

 「(地方銀行の)数が多すぎる」と発言した菅義偉氏が首相に就いたことで、地銀の合併など再編に向けた議論が今後加速する可能性が出てきた。新型コロナウイルスの影響で中小企業を支援する必要性が増す中で、拙速な再編が地域経済に悪影響をもたらす懸念もある。
 「従来の預貸を中心としたビジネスは収益が低下しており、その点では確かにオーバーバンキング(数が多い)だろう」。菅氏の発言に関して、全国地方銀行協会の大矢恭好会長(横浜銀行頭取)は16日の会見でこう述べた。
 上場する地銀78行の2020年3月期の決算によると、約7割に当たる54行が前期比で減益で、3行は赤字だった。日本銀行の超低金利政策で、収益の柱である融資で利ざやを稼げない状況が続いている。融資先企業の経営悪化に備える関連費用も膨らんだ。
 経営が芳しくない地銀に対して、経営改善のため「再編は選択肢の一つ」と金融庁はこれまでも迫ってきた。ある幹部は「10年後に今のままだと思っている人は誰もいない」と話し、日銀幹部も「5年後に訪れるはずだった再編がコロナで早く来るということだ」として、菅氏の発言に理解を示す。
 一方で、再編には利用者である企業への目配りが必要だとの声が根強い。東京商工リサーチが8、9月に中小企業約1万3000社を対象に行った調査では、業績悪化を踏まえ廃業を検討している企業は8.8%に上った。
 東京商工リサーチの友田信男情報本部長は「融資に加え、債権超過のうちに自主廃業を促すことも今後の地銀の重要な役割になる」と指摘。その上で「再編で金融機関は生き残っても、中小企業の経営支援で人手不足に陥るため、自治体などとの連携も必要だ」と強調する。
 地銀の再編を巡っては、ネット金融大手のSBIホールディングスが島根銀行や福島銀行などに出資し、「第4のメガバンク」構想の動きもある。証券アナリストは「富裕層向けの証券販売に注力するあまり、預金や資金供給といった地銀の公共性が損なわれないよう留意すべきだ」と指摘する。(皆川剛)

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