桜中止は予算コロナ集中のため<菅首相会見詳報・動画あり>

2020年9月16日 23時10分
 菅義偉首相が16日夜に行った記者会見の要旨は次の通り。
【冒頭発言】
 第99代内閣総理大臣に指名された。これまで第2次安倍政権の官房長官として日本経済再生、外交安全保障の再構築、全世代型社会保障制度の実現という重要課題に取り組んできた。今年に入ってからは新型コロナウイルス感染症の拡大と、戦後最大の経済の落ち込み、かつて直面したことがない事態に真正面から対処してきた。
 安倍晋三前首相が病気のため道半ばで退かれることになった。この国難にあたって政治の空白は許されない。危機を乗り越えて、全国民が安心して生活を取り戻すためには、安倍政権が進めてきた取り組みを継承し、前に進める。それが私に課せられた使命だ。
 最優先課題は、新型コロナウイルス対策だ。欧米諸国のような爆発的な感染拡大を阻止し、国民の命と健康を守り抜く。その上で社会経済活動との両立を目指す。メリハリの効いた感染対策を行い、検査態勢を充実させ、必要な医療体制を確保する。来年前半までに全ての国民に行き渡るワクチンの確保を目指す。
 厳しい経済状況の中で、雇用を守り、事業を継続させていくことが大事だ。持続化給付金、雇用調整助成金、無利子無担保融資の経済対策を届ける。
 「Go To キャンペーン」を通じ観光、飲食、イベント、商店街などダメージを受けた方々を支援する。「Go To トラベル」はスタート以来、延べ1300万人に利用していただいたが、利用者の感染者は10人にとどまっている。
 経済の再生は最重要課題だ。アベノミクスを継承し、いっそうの改革を進める。安倍政権発足以来、人口が減少する中でも就業者数は増えた。全ての都道府県で有効求人倍率が1を超えた。バブル崩壊後で最高の経済状態だったが、新型コロナウイルスが発生した。この危機を乗り越え、ポストコロナの社会の構築に向けて集中的に改革し、必要な投資を行い、再び強い経済を取り戻したい。
 新型コロナで浮き彫りになったのは、デジタルおよびサプライチェーンの見直しだ。行政のデジタル化の鍵はマイナンバーカードだが、普及が進んでいない。前倒しで措置するとともに、複数の省庁に分かれている政策を取りまとめて強力に進める体制として、デジタル庁を新設する。
 秋田の農家の長男に生まれた私の中には、日本の全ての地方を元気にしたいという気持ちが脈々と流れている。第1次安倍政権で総務相に就任した際に、ふるさと納税を官僚の大反対を押し切って立ち上げた。
 26年間も下がりっぱなしだった地方の地価が昨年、上昇に転じた。外国人観光客、いわゆるインバウンドの効果だ。農林水産品の輸出も伸びた。今後も地方を活性化するような政策にしっかり取り組む。
 少子化対策は長年の課題だ。これまで幼稚園、保育園、大学、専門学校の無償化や、男性国家公務員による最低1カ月の育休取得も進めてきた。若い人たちが、将来も安心できる全世代型社会保障制度を構築していきたい。
 昨年の待機児童数は調査開始以来、最少だった。保育サービスを拡充し、問題に終止符を打ちたい。出産を希望する世帯を支援し、ハードルを下げていくために不妊治療への保険適用を実現する。
 外交および安全保障では、日米同盟を基軸とした戦略を展開する。自由で開かれたインド太平洋を推進するとともに中国、ロシアを含む近隣諸国との安定的な関係を築いていく。拉致問題の解決に全力を傾ける。米国をはじめ、関係国と連携し、すべての拉致被害者の1日も早い帰国を実現すべく取り組む。
 省庁の縦割りによって、ダムの大半は洪水対策に全く活用されていなかった。携帯電話の大手3社が9割の寡占状態を長年にわたって維持している。当たり前でないことを見逃さず、現場の声に耳を傾けて、何が当たり前なのかを見極めた上で大胆に実行する。
 私が目指す社会像は自助、共助、公助、そして絆だ。まずは自分でやってみる。そして家族、地域でお互いに助け合う。その上で政府がセーフティーネットで守る。国民から信頼される政府を目指していきたい。行政の縦割り、既得権益、あしき前例主義を打ち破って規制改革を全力で進める。国民のために働く内閣をつくる。そのことによって国民の期待に応える。

記者会見する菅義偉首相(中央)=首相官邸で


【質疑応答】
 記者(幹事社・NHK) 衆院解散の判断は。来年前半までに全国民分の新型コロナワクチンの確保を目指すというが、国民に行き渡らない状況では解散は行わないか。
 首相 新しい内閣に対する国民の期待は、新型コロナの感染拡大防止と、経済の両立だ。まずこのことに全力を挙げて取り組んでいきたい。いずれにしろ1年以内に、衆院の解散・総選挙があるわけなので、時間の制約も視野に入れながら考えていきたい。
 記者(幹事社・西日本新聞) 内閣の布陣の狙いは。安倍政権では国民や国会への説明不足、異論の排除、忖度といった体質が指摘された。安倍政権の継承を掲げているが、指摘をどう改善するのか。森友・加計学園問題、桜を見る会、河井克行、案里両被告を巡る選挙違反事件などについて追加的な検証を行わないか。
 首相 この内閣は、既得権益を打破し規制を改革する、国民のために働く内閣だ。客観的に見て、おかしいことは直していかなければならない。森友学園に関しては、公文書改ざんについて財務省で調査、処分を行った。検察の捜査も行われ結論も出ている。桜を見る会は安倍政権発足以来、政権が長くなる中で招待客が多くなったことも事実だ。来年以降は中止したい。河井さんの件は裁判中なので、この場で発言することは控えたい。
 記者(日本経済新聞) 規制改革担当相に河野太郎氏を起用した狙い、期待は。規制改革の答申取りまとめで、よりスピード感をもって対応するか。規制改革の対象となる分野は。
 首相 ふるさと納税を作ろうとした時、役所からは「住んでいる市町村以外に税金を納めるなんて前例がない」と言われた。観光ビザの緩和も、国土交通省や観光庁はやりたかったが治安当局が反対した。縦割りと既得権益とあしき前例を打破して、規制改革を進めていく。河野氏は党の行政改革もやっていたので任命した。閣僚呼び込みの中で、例えば「縦割り110番」のような、国民から「こんなことが現実に起きている」という(指摘がある)ことを参考にしてはどうかと指示した。
 記者(ニコニコ動画) 菅新政権にとっての、北朝鮮による日本人拉致問題の位置づけと、日朝首脳会談の必要性は
 首相 安倍政権同様、政権の最重要課題だ。拉致被害者の家族が高齢になり、問題の解決は一刻も猶予がない。不退転の決意で、自らが先頭に立って取り組んでいきたい。横田めぐみさんとお父さんを引き合わすことができず、申し訳ない思いでいっぱいだ。
 記者(京都新聞) 桜を見る会を来年以降中止したいと言ったが、安倍前首相と相談したのか。中止するという決断に至った思いを詳しく教えてほしい。
 首相 そうしたことよりも今大事なのは、コロナ対策だ。こうしたものに集中していきたい。そういう強い思いで、首相になって予算要求しないことを決めた。安倍前首相は従前から、予算要求については否定的だった。 
【記者会見の流れ】
 菅首相の冒頭発言後、内閣記者会の幹事2社(各社の持ち回り制)が順に代表質問した。その後、司会の山田真貴子内閣広報官が挙手した記者の中から指名。本紙記者は指名されなかった。幹事社を含め5人が質問し、30分で終了した。

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