東海テレビが名古屋闇サイト殺人を映画化 被害者と加害者の家族描く

2020年9月17日 07時55分

斉藤潤一監督

 二〇〇七年に起きた「名古屋闇サイト殺人事件」を題材にした映画「おかえり ただいま」が十九日から、東京・ポレポレ東中野で公開される。製作は名古屋の東海テレビ。ドラマとドキュメンタリーを組み合わせて、被害者と加害者の家族を描き出した。当時、記者として事件を取材した斉藤潤一監督(52)に聞いた。 (竹島勇)
 ドラマパートでは被害者の母富美子(ふみこ)さん役を斉藤由貴、一人娘で殺害された利恵さん役を佐津川愛美が演じた。富美子さんが街頭で被告に極刑を求める署名を募る場面や、暮らしぶりなどはニュース映像やドキュメンタリーで構成した。
 作品では三つの「家」が描かれる。富美子さんと利恵さんが暮らした団地、罪を犯した神田司元死刑囚がすさんだ少年時代を過ごした家。そして、利恵さんが脅されながらもキャッシュカードの虚偽の暗証番号を伝えて守った預金で富美子さんが買った家。

新居でゴムの木の世話をする富美子さん

 当初、斉藤監督のシナリオには神田元死刑囚側の描写はなかったが、ドキュメンタリーを次々と手掛けた同局の阿武野(あぶの)勝彦プロデューサーが「富美子さんへの共感にあふれていた。それだけに、裁判を厳罰化に導いていく危うさを感じさせた」と指摘、神田元死刑囚の背景の取材を提案した。
 〇九年に番組を制作した際、富美子さんを取材。肉親を殺されながらも極刑を求めない人にも話を聞いた。「富美子さんの意に沿わぬ内容になり、不愉快に思われただろう。本作は富美子さんに寄り添う作品にするつもりだった」と斉藤監督。しかし再考し、家族の事情を多角的に表現した。

作品のドラマパートから。家の思い出のゴムの木を見つめる富美子さん役の斉藤由貴

 富美子さんにも粘り強く交渉し、新居内や笑顔のある穏やかな暮らしも描き出した。斉藤監督は「放送エリア(東海地方)外のドキュメンタリーファンにも見てもらえる」と語った。
<名古屋闇サイト殺人事件> 2007年8月24日深夜、帰宅途中の磯谷利恵さん=当時(31)=が拉致、殺害された後、山中に遺棄された。携帯電話のサイトで知り合った3人の男による犯行で、主犯格の神田被告は死刑(15年執行)、2人が無期懲役判決。後に1人は別の強盗殺人の罪が発覚、死刑が確定した。

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