ルワンダのシングルマザー、オンラインシッターに 日本人の子へ料理風景や歌、にらめっこ…好評

2020年9月17日 11時50分

ルワンダの首都キガリで、パソコンの画面越しに話し掛けるシッターたち=7月(共同)

 

◆コロナ禍で収入減、飲食店員が転身


 時差7時間と距離約1万2000キロの“壁”を越え、アフリカ・ルワンダのシングルマザーたちがオンラインシッターになって日本の子どもを楽しませている。シッターを務めるのは、新型コロナウイルス禍の観光客減に苦しむ飲食店従業員。歌や複雑なリズムを用いた遊びと、日本から見れば格安の利用料金で人気を集めている。
 
 ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」を活用。パソコンの画面越しに大勢のシッターから「グマ、グマ」と現地語の掛け声が入ると、ルワンダに広く伝わるリズムに合わせ、日本の子どもが手拍子を始めた。
 
 

ルワンダの首都キガリで、オンラインで「にらめっこ」をするシッター=7月(共同)

音楽や遊びに加え、買い物や家庭料理を作る様子も中継。空中で野菜を切る包丁さばきに、保護者からも歓声が上がる。シッターに会えるのは1日2回の各1時間で、現地語や英語、日本語が入り交じる。
 2歳の長男と参加する福井県高浜町の亀川豊親さん(36)は「近所のリトミック教室では体験できないグルーブ感がある」と驚いた様子。長男は常連になり、1人でも教わった音楽を口ずさみ、おもちゃの太鼓で遊ぶようになった。

◆ひとり親支援の日本料理店が立ち上げ

 立ち上げたのは、首都キガリで営む日本料理店でシングルマザーを雇用して支援をする山田美緒さん(38)=大阪府池田市出身=と、知人で福岡県福津市の中嶋雄士さん(30)。きっかけは、日本で新型コロナによる外出自粛が続く4月、オンライン上のバーだった。「休園で家にいる子どもにもオンライン交流を体験させたい」。バーを利用していた亀川さんの言葉を居合わせた中嶋さんが聞き、立ち上げを山田さんに持ちかけた。
 ルワンダは3月にロックダウン(都市封鎖)を敷き、山田さんの店も客足が途絶えていた。従業員の賃金に充てようと、シッターの月額料金を従業員の月収と同じ3000円に設定。従業員約20人がシッターに転身した。

◆「身近な物の見方、変わる体験を」


 亀川さんは「日本の小さな町からも利用できて、コロナ以前は想像もできなかった世界だ。長男が成長したら、自分のお小遣いとシッターの月収を比べ、何か気付くこともあるだろう」と語る。
 

ルワンダの首都キガリで、オンラインで日本の子どもと交流するシッターたち=7月(共同)


 笑顔で明るいシッターだが、歌う曲には戦争に触れる歌詞もある。「子どもよ泣かないで。もし戦争が起きたら、寂しくない牛からとれる牛乳をあげる」。山田さんによると牛乳はルワンダでは隣人愛の象徴。「日本の常識を超え、身近な物の見方が変わる体験になればうれしい」と話す。 (共同)

詳細はホームページ(「KISEKIオンラインプログラム」)に掲載。

 ルワンダ アフリカ中部の高原国で人口約1260万人。公用語はフランス語など。多数派フツ人と少数派ツチ人が長年対立。1994年、フツ人主体の政府軍や民兵がツチ人やフツ人穏健派を虐殺、約80万人が死亡したとされる。ツチ人のカガメ大統領は長期政権下で民族和解や経済成長を進め、復興は「アフリカの奇跡」と称されるが、強権体制が批判を浴びている。人口の6割を20代前半までが占め、列国議会同盟(IPU)によると、女性議員の比率は61・3%と世界各国の議会で最も高い。

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