コロナ禍、夜鳴きそばの灯再び 夜の市街地に響くチャルメラの音 足利のラーメン店「麺や 松」

2020年9月17日 11時50分

夜の市街地で人気の夜鳴きそば。車屋台の前はラーメン待ちの行列ができた=栃木県足利市で


◆実店舗が打撃、屋外で売れば... 


 かつて繊維産業が盛んだった栃木県足利市で職人さんたちや住民のおなかを満たしてくれた夜鳴きそば。昨年6月にいったん街から消滅したが、今夏、復活した。新型コロナウイルス感染症の影響で外食を控える市民においしいラーメンをと、市内のラーメン店「麺や 松」(伊勢町)が始めた車屋台で、一度停車すれば丼を手に持った人々が次々と集まり、大人気だ。(梅村武史)

チャルメラを手に夜鳴きそばへの思いを語る松島文久店長=足利市で


 パラリーララ パラリラララ~
夜の市街地に軽妙なチャルメラの音が響き渡る。2度目の利用という同市利保町の主婦、仙田秀子さん(55)は「なんとも懐かしい味。いまは外食が難しいので助かります」と笑顔。夜鳴きそばを担当する店員の菊地真人さん(20)は「チャルメラの音を頼りに車で追いかけてくる人もいる」と予想以上の人気に驚く。

◆半年かけ屋台手作り


 きっかけは、新型コロナウイルスの感染拡大で本業のラーメン店舗の売り上げが激減したこと。店主の松島文久さん(45)は11人の従業員と対策を話し合った。その中で、屋外なら接触を避けられると夜鳴きそばのアイデアが浮かんだ。
 「試行錯誤の連続だった」と松島さん。2月末に準備を始め、営業開始は8月27日。何度も保健所に足を運び、衛生管理の指導を受けた。車屋台はホームセンターで材料を買って従業員が手作りした。ラーメンも屋外で食べておいしい味を目指した。試作を繰り返し、やや濃いめの醤油味を新たに開発した。
 「子どものころ、チャルメラの音を聞くとウキウキした思い出がある」という松島さんにとって、夜鳴きそば店の運営は目標だった。かつて、交流がある80代の男性から戦後間もないころにリヤカーを引いて夜鳴きそば店を経営していた話を聞いた。男性からノウハウを伝授され、本物のチャルメラも譲り受けている。

◆昨年6月には最後の夜鳴きそば消滅


 足利市では、数十台の車屋台がしのぎを削った時代があったが、徐々に減少。昨年6月、最後に残った「大丸ラーメン」が閉店し、夜鳴きそばが消滅している。松島さんは「コロナ禍を乗り越えて静まり返った街に元気を届け、末永く市民に愛される味として定着させたい」と話す。
 営業は日曜以外の午後5時半~9時で巡回範囲は市内全域。ラーメンは1杯650円(税込み。丼持ち寄りで50円引き)。同店の会員制交流サイト(SNS)で当日の夕刻、大まかな順路を告知する。10杯以上の注文があれば要望場所に駆けつける。問い合わせは同店=電0284(43)2117=へ。

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