政府が検討する敵基地攻撃能力で 米軍を守るため日本が他国を攻撃することはあるのか

2020年9月18日 05時50分
 ミサイルを撃たれる前に相手国の発射拠点をたたく敵基地攻撃能力を保有した場合、他国を武力で守る集団的自衛権に基づいて攻撃できるかどうかについて、本紙が防衛省に質問したところ、同省は17日の回答で可否を明らかにしなかった。安倍晋三前首相は5年前の国会答弁で攻撃の可能性を否定していた。菅政権は、敵基地攻撃能力保有を含む新たな安全保障政策の方針を年末までに策定するが、米国を防衛するための攻撃があり得るのかどうかも論点になる。(上野実輝彦)
 集団的自衛権行使を容認した安全保障関連法は成立から19日で5年。菅義偉首相は16日の組閣後、岸信夫防衛相に敵基地攻撃能力保有を含む新たな安全保障政策の方針を、年末までに策定するよう指示した。
 安保法を審議した2015年の国会で、安倍氏は「わが国は敵基地攻撃を目的とした装備体系は保有しておらず、集団的自衛権の行使として敵基地を攻撃することは想定していない」と、繰り返し説明した。
 一方、安倍氏は首相退任前の今月十一日、新たなミサイル防衛政策に関する談話を発表し、従来の「迎撃能力」を上回る対策の検討を明記。事実上、敵基地攻撃能力の保有検討を次期政権に促した。
 安倍氏の新たな談話を踏まえ、本紙は今月十五日、防衛省に文書で質問。敵基地攻撃能力を保有した場合について「従来の政府見解も変更され、集団的自衛権行使としての敵基地攻撃も想定されうるのか」と尋ねた。
 同省は17日に本紙に回答。「仮定の質問に答えるのは控える。憲法の範囲内で、国際法を順守しつつ、専守防衛の考え方の下、平和と安全を守り抜く方策の検討を進める」とした。
 ミサイル防衛を巡り、政府は17年、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」導入を決定。だが、迎撃ミサイル発射後に切り離す加速装置を自衛隊の演習場内に落下させられないことを理由に、今年6月に配備計画を撤回。代替手段として敵基地攻撃能力の保有を含む検討を始めた。
 政府は、北朝鮮が米領グアム周辺に弾道ミサイルを発射した場合、地上イージスやイージス艦が集団的自衛権に基づき迎撃する可能性は認めている。

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