<柳沢協二さんのウォッチ安全保障>日米一体化 守から攻へ

2020年9月18日 05時50分
他国を武力で守る集団的自衛権の行使や、自衛隊による米艦・米機の防護を新たに可能とした安全保障関連法は、日本が米国を「守る」ための軍事的一体化を進めるものだった。
 これに、自衛隊の敵基地攻撃能力が加われば、日米は他国を「攻める」ために一体化することになる。相手からの反撃を防ぐため、多くのミサイル発射拠点を一斉にたたくには、膨大な情報量に支えられた指揮統制システムが必要だ。この点で日本は米国に依存するしかない。それは、日本が進んで米国と一緒に戦争参加する意思表示とみなされる。
 敵基地攻撃が、集団的自衛権の行使と結び付く可能性もある。政府は、北朝鮮からグアムへのミサイル攻撃が存立危機事態に当たる場合があるとしている。これを防ぐために、日本が敵基地を攻撃することもないとは言えない。
 また、自衛隊は既に、過去3年間で30件以上の米艦・米機の防護活動を実施した。仮に、米中両軍がしのぎを削る南シナ海などで中国の陸上基地からの攻撃があるとすれば、自衛隊はその敵基地を攻撃するのか。
 米中が互いを軍事的に挑発し、東アジアが戦場になる恐れが高まっている。集団的自衛権行使を可能にした日本が敵基地攻撃能力まで獲得すれば、抑止力向上どころか、逆に周辺国の軍拡を招いて状況を不安定化させる。「国民の命を守るため」などという情緒的な議論に流されず、いかなる状況で何をするのか、それがかえって戦争の発端にならないのか、論理的な検証が必要な時期だ。(聞き手・新開浩)

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