<菅政権の課題>格差拡大 非正規救済を最優先に

2020年9月18日 08時04分
 コロナ禍収束の見通しが立たない中、菅政権には経済再生という難題が待ち受けている。特に雇用情勢は深刻度を増している。新政権は職を失った人々の救済に最優先で取り組む必要がある。
 総務省が今月初めに発表した労働力調査によると、七月の雇用者数は前年同月比で九十二万人減少した。六月も九十四万人減でコロナ禍が人々の職を奪っている現状が統計上裏付けられた。
 とりわけ心配なのは非正規労働者の状況だ。七月のデータでは正規が持ち直す中、前年同月比で百三十一万人も減った。これは解雇しやすいことを背景に、非正規労働者が企業の人件費圧縮の「調整弁」となっている実態を浮き彫りにした数字だ。
 派遣やパート、アルバイトで生計を立てている人々が解雇された場合、正規雇用と比べ補償の面でも不利益を被っている。一人で子育てをしている世帯も多く、暮らしに困窮している姿は想像に難くない。
 菅首相は就任直後の会見で「雇用を守り事業を継続させていくことが大事だ」とし、雇用調整助成金などの対策を「届ける」と述べた。しかし、失業や倒産が激増する中で既存の対策は不十分だ。まずは非正規救済を軸とした新たな雇用対策に知恵を絞ってほしい。
 同時に若者の雇用にも十分な配慮が必要だ。就職情報のリクルートキャリアの調査では今月一日時点の大卒内定率は85%と昨年より8・7ポイント下がった。一方、厚生労働省によると八月末時点の採用内定取り消しは大卒、高卒合わせ百七十四人と昨年の五倍に増えた。
 未来を担う若者の就職難が社会不安の温床になることは言うまでもない。コロナ禍で収益が減ったとはいえ多くの大企業は株価安定という好環境の下で内部留保を蓄えてきたはずだ。経営者には短慮に失した採用方針を取らないよう要望したい。同時に新政権も若者の雇用に特に目を光らせる必要があるだろう。
 コロナ禍により、「自助」できる人々と「公助」が必要な人々との格差が目に見えて拡大しつつある。このままでは社会が二極に分断されかねない。
 新政権は十一兆円を超える予備費の多くを躊躇(ちゅうちょ)なく雇用対策に充てるべきである。来年度予算編成でも、増大する防衛費を含め聖域なく配分を見直し、「置き去りにされた人々」に温かい社会的包摂を優先した政策を期待したい。 

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