「妻の分まで長生きを」つけ込まれ、老後の蓄え1億円が…ジャパンライフ被害男性の怒り

2020年9月18日 11時34分
男性に頻繁に送られてきたジャパンライフの商品チラシ

男性に頻繁に送られてきたジャパンライフの商品チラシ

 預託商法を展開し破綻した「ジャパンライフ」の元幹部らが18日、詐欺容疑で一斉に逮捕された。元会長山口隆祥たかよし容疑者(78)は大勢の報道陣に囲まれる中、捜査車両に乗り込んだ。少しでも老後の蓄えを、との心理につけ込まれ被害に遭った人らの心の傷は消えない。 (佐藤大、木原育子、井上真典)

◆「不安につけ込み、財産をむしり取った」

 ジャパンライフに計1億1500万円を支払い、返済されていない埼玉県川越市の男性(75)は「ジャパン」や「ライフ」という言葉を聞くと今も胸が苦しくなるという。「不安につけ込んで財産をむしり取っていった。罪を償ってほしい」。男性はやり場のない怒りをぶつける。
 「あの時、普通の日常を生きていくことだけで必死でした。妻の分までとの思いでいっぱいでした」。男性は46歳だった1990年、最愛の妻=享年(42)=を病気で亡くした。息子と娘は小学5年生と3年生で甘え盛り。自身も心臓に持病がある中、子育てと仕事の両立に懸命だった。

◆不安定な世相…優しい言葉を信じた

 95年、阪神淡路大震災や地下鉄サリン事件など世の中を震撼しんかんさせる災害や事件が続いた。そんな時、優しい言葉を掛けてくれたのがジャパンライフの社員たちだった。
 「血液がさらさらになる」「頑張っている人には人生のご褒美が必要だ」。同社代理店の女性が小まめに自宅を訪れ、磁気が埋め込まれたベストを薦めた。半信半疑だったが「子どものためにも長生きしなければ」と健康に気を使っていたため、信じたという。
 マカオや沖縄であった「研修」と称した大会にも積極的に参加。元会長の山口容疑者が壇上に立ち、「郵便局や銀行はやがてつぶれるが、健康産業のジャパンライフは絶対につぶれない」と熱弁を振るい、拍手喝采となった。

◆「せめて子どもたちの分は返して」

 気が付けば、老後のために蓄えていた1億円と2人の子ども名義の預金1500万円をつぎ込んでいた。
 2015年ごろ、月額で入るレンタル料金が滞るようになり、胸騒ぎがして代理店に向かうと、担当者は「今度返しますから」の一点張り。その後、次第に連絡が取れなくなった。
 男性は「このままでは死んでも死にきれない。子どもたちの分は、せめて返してくれ」と嘆く。男性は唯一残った畑を耕しながら年老いた今も働き続ける。「怒りと憎しみを抱えたまま人生を終える苦しみは、誰にも味わってほしくない」

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