狭山茶にもコロナの逆風 入間の生産者 売り上げ4割減も

2020年9月19日 07時08分

狭山茶の主産地である入間市の東金子地区に広がる茶畑

 新型コロナウイルス感染拡大の影響は、県特産の狭山茶にも及んでいる。新茶シーズンの販売不振に加え、葬儀の減少やお盆の帰省自粛なども逆風になったという。主産地の入間市では、売り上げが約四割減った生産農家もある。(加藤木信夫)
 「最大の売り上げが見込める五〜六月の新茶シーズンと、政府の緊急事態宣言が重なったのは痛かった」。同市茶業協会の清水裕司会長が歯ぎしりをする。
 宣言に伴い、営業を自粛したホテルやデパートと取引していた生産農家は、軒並み苦境に陥った。清水さんは「売り上げの落ち込み方は、主に大手相手の農家が35〜40%減、個人客中心のところは5〜10%減といったところだろうか」と推測する。
 葬斎場に香典返しのお茶を卸している生産農家も、つらい立場に置かれた。同市の四十代の生産農家男性は「コロナ禍で、人が集まる葬儀を家族葬に切り替えたり、告別式と通夜のいずれかで済ませたりする家が増えた」とため息をつく。
 市内にある葬斎場の四十代の男性取締役も「近年、香典返しとしてのお茶が減りつつある中で、さらに減った感じがある。5%未満だったお茶が1%未満になった」と打ち明けた。
 お盆の帰省時期にコロナ感染が再拡大したことも打撃だった。生産農家の男性は「茶どころでは、帰省の手土産にお茶を購入する習慣があるが、コロナ禍の中で帰省を取りやめる人がたくさんいた。葬祭関連と合わせ、売り上げが二〜三割は落ちた」と語った。
 ただ、嘆いてばかりではいられない。生産農家の男性は「いつも同じ味では関心を持ってもらえない。茶葉をしおらせるなどして風味を加えた、オリジナル品の販売を始めた」と新たな展開に活路を見いだす。
 茶業協会の清水さんは「萎凋香(いちょうか)」という言葉を口にした。高温や乾燥などに茶葉をさらすと、自己防衛のため独特の良い香りが出てくることを意味し、「私の店でも取り組んでいる」と話した。
 狭山茶摘み歌では「色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめさす」と歌われる。清水さんは「独特の蒸し方、肥料の使い方などに取り組む狭山茶は、味だけでなく香りも一番ではないか。気温が下がり、お茶の需要が高まるこれから、巻き返しを図りたい」と力を込めた。

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