昨秋の台風浸水、住民説明会 狛江市「水門開け退避 反省」 逆流時刻に疑問の声も

2020年9月20日 06時34分

住民説明会で、昨年の台風19号による浸水状況をシミュレーションで再現した図などで説明する狛江市職員=いずれも狛江市で

 昨年10月の台風19号で多摩川沿いの狛江市や調布市で発生した浸水被害について、多摩川に雨水などを流す2カ所の排水路の水門を管理する狛江市が18、19の両日、市内で開いた住民説明会。市が既に公表した浸水原因の最終調査報告書に沿って説明し、出席した被災住民らとの質疑応答があった。 (花井勝規)
 焦点となっていた水門を開けたまま市職員らが退避したことについて、市下水道課の担当者は「当初は内水氾濫による浸水が拡大していた。当時の降雨状況から判断し、水門を開けたまま退避した」と説明。その上で「結果として逆流を招いたことを真摯(しんし)に受け止め、深く反省している。今回、マニュアルを見直し、退避時には水門を閉めると改めた」と述べ、理解を求めた。
 住民からは、市が報告書で逆流が発生した時刻を午後九時半ごろとしたシミュレーション結果に疑問の声が上がった。
 午後六時台から逆流をうかがわせる多数のアユの目撃情報があったことについて、市側は「アユの目撃情報がそのまま逆流に結び付くものとは考えていない。流れの緩いところや岩陰、支線(排水路)などに逃げると考えている」と説明した。

◆被災住民らは…復旧数億円の集合住宅も 「一歩前進」/「人災、泣き寝入りだ」

 狛江市の住民説明会に出席した被災者らは、市側の説明をどう見たのか。
 六郷排水樋管(ひかん)近くの狛江市中和泉のマンション(四十戸)の管理組合で理事長を務める吉兼元幸さん(70)は「水門を開けたまま職員らが退避したことについて市側から『反省』の言葉が出たのは昨年の説明会と比べると一歩前進と言えるが、予想通り謝罪の言葉はなかった」と指摘。「市は非を認めれば補償問題につながるのを恐れているのだろう」と話した。
 吉兼さんらのマンションは一階の八戸が床上浸水し、共用部分の設備の復旧に約一千万円かかったという。一世帯は改修費に一千万円近くをかけ、転居した。同じ一階に住む天野宏子さん方では、改修工事がまだできていない部屋が残っている。被災した別の女性は「隣の世田谷区はちゃんと水門を閉めたのに、狛江は開けたまま避難した。人災だと思う。みな泣き寝入りです」と嘆いた。

ふすまに浸水の跡が残る天野宏子さん宅の和室。この1年で各部屋の改修はほぼ終えたが一部屋だけ未着手になっている

 六郷排水樋管に通じる根川などから広範囲に浸水した調布市染地地区の集合住宅(六十三戸)の理事長は「市が水門の操作マニュアルの不備を認め、反省の意を示したのは前進。ようやくスタート台に立てるという印象」と語る。集合住宅にはすべて地下室があり、全室が水没した。復旧費用は総額数億円。保険が下りた世帯もあるが、三割ほどの世帯は無保険や保険適用外だったという。

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