お待たせ ライオンバス 多摩動物公園で来春にも復活

2020年9月21日 06時25分

バス運行に向け、新施設に慣れる練習中のライオン=いずれも日野市で

 バスの窓からライオンを間近で観察できる−。世界初のサファリ形式の展示施設として人気を博した多摩動物公園(日野市)の「ライオンバス」が、施設の改修のため二〇一六年に運行を休止してから四年余り。完成した新施設にライオンを慣れさせる練習が始まるなど、復活に向けた準備が着々と進んでいる。早ければ来春にも、再びバスから迫力満点のライオンの姿を楽しめそうだ。

休止前のライオンバス(東京動物園協会提供)

◆16年に休止

 園内の北側に位置するアフリカ園の一角に、約一ヘクタールに及ぶ広大なライオンの放飼場がある。アフリカの草原を思わせる緑に囲まれた放飼場を数頭のライオンがゆったりと歩く。周囲の柵越しに子どもたちが「ライオンさーん」と声を上げた。家族四人で訪れた練馬区の会社員鷲尾武志さん(46)は「休止前は年に数回、ライオンバスに乗りに来た。再開が待ち遠しい」と笑顔を見せた。
 ライオンバスの運行が始まったのは一九六四年。初代園長の林寿郎(じゅろう)さんが、動物の収集と研究のために訪れたケニアでの経験をもとに、動物園でも野生に近い形で動物を見てもらいたいと発案した。利用者は二年間で延べ百万人を突破。園の目玉となり、八八年に一千万人、二〇一四年には二千万人を達成した。
 バスは時代とともに更新を重ね、休止前の五代目は一度に二十五人が乗車できた。初代から強化ガラスを重ねた窓や後部の救助用扉を装備するなど安全策を講じ、万一の事態を想定した職員の訓練も毎年実施してきた。外観のシマウマ模様は、七六年の二代目から取り入れている。

ライオンを眺める家族連れ

 放飼場のコースを走るバスが、台の上で餌の牛骨にかじり付くライオンに横付けすると、車内から一斉に歓声が上がる。窓枠にぶら下げられた馬肉を食べようと、ライオンが近寄ってくることも。調布市の主婦鶴内恵さん(37)は「ライオンバスに乗りたかったけれど、まだ再開していなかった。小さいときに乗った次男が怖がって泣いたほど迫力があった」と懐かしんだ。
 バスの運行再開には、乗り越えなければならない課題もある。ライオンは群れをつくって生活する動物で、園のライオンも一つの群れになっていた。だが、ライオンの高齢化が進み、改修中は以前より狭い仮設の放飼場などで暮らしていたことからライオン同士の関係性が崩れ、群れの再構築が必要となった。

◆生態を見て

 園で飼育しているライオンは五〜二十四歳の計十四頭(雄四頭、雌十頭)。八月十九日から、新しくなった放飼場に少頭数ずつライオンを放し、慣れさせる練習が始まった。同時に再び一つの群れをつくることを目指し、職員が交代で見守っている。飼育担当の泉こはるさん(22)は「来園者の期待に応えられるよう頑張りたい。バスの中からライオンのさまざまな生態を観察してほしい」と話す。

新しくなったライオンバスの発着所

 園は来春の運行再開を目指しているが、新型コロナウイルスの影響などで時期がずれ込む可能性もある。
 感染防止のため、混雑が予想される十一月二十九日までの土日祝日(午後二時半以降の入園を除く)は、園のホームページからか電話での予約が必要。
 文・服部展和/写真・淡路久喜
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